がん治療後、在宅治療に向けての備え

末期のがんで入院されている方の中には、「住み慣れた家で暮らしたい」「家族と一緒に暮らしたい」と希望される方が多くおられます。病気になる前のように自宅で日常生活を送ることで自分らしく過ごすしたい、ということから在宅治療を望まれるのでしょう。

しかし、在宅治療を行う場合は、どのような問題があるのでしょうか?今回はさまざまながんの在宅治療の疑問について考えてみます。

退院時に考えておく緊急事態への対応

在宅治療を行う大前提として、「本人ががん宣告を受けていること」が必要です。これは、緊急事態が起こった際、また症状が悪化してきた際などに備えるためでもあります。

病院から退院する際には、緊急時に対応をしてくれる地域の診療所や、夜間も対応可能な介護サービスなどに症状の連携をしてもらっておくことをお勧めします。高齢で独居であるという人も少なくない近年、24時間で緊急事態に対応してもらえる診療所などを確保することは、在宅治療が可能かどうか判断する上で、大切なことです。

在宅医療で心配されること

在宅治療で心配されることは、大きく分けて「医療費の負担増」「日常生活を送る上でのハンデ」「孤独への対応」の3つが考えられます。

医療費の負担増に備える

気になる医療費ですが、公的なサービスで受けられるものも把握しておくことがよいでしょう。

まず40代以上の末期がんの患者さんの場合は、介護保険が利用できます。通常、介護保険は65歳以上の人が受けるサービスですが、末期がんと診断を受けた場合、要介護認定を受ければ、サービスを利用できます。まずは、お住まいの自治体へ相談してみましょう。

また、高額療養費制度という公的な医療保険制度もあります。医療機関や薬局で支払った額が一定額を超えた場合に、金額を支給する制度です。個人の収入などによって金額は異なりますが、在宅医療を選択する際には、こちらもお住まいの自治体に相談をしてみるといいでしょう。

日常生活を送る上でのハンデ

家族が遠くに住んでいる、日中一人になってしまう、独居であるといった条件では、日常生活上で必要な雑務を自分自身でこなす必要が出てきます。病を患った身体には、ちょっとしたことが、大きな負担となることもあります。しかし、自分の力で成し遂げるということは、生きる張り合いにもなります。無理をしない範囲で、雑務を楽しんでみましょう。

孤独への対応

在宅治療をあきらめる理由として、一人ぼっちになるさみしさを上げる方も少なくないようです。コミュニケーションによって、生きるモチベーションを得ることも多いのです。在宅治療を行うにあたって、支援団体へ相談を行うなど、孤独への対応を真剣に考える必要があるでしょう。

公的なサポートも大きな助けになる

金銭的な問題でも、公的なサービスは重要なポイントになりますが、精神的な安心を得るためにも、公的なサポートは欠かせないものになります。

各自治体に設置されている「地域包括支援センター」もその一つです。こちらでは、地域の保険・医療・福祉を向上させるために活動をする場所で、介護保険を受けている人を対象にサービスを行います。ケアマネージャーやソーシャルワーカーなどが連携して支援をしてくれるので、活用したいところです。

また、自治体によっては、独居の老人の安否確認などを、地域の人と連携して行っているところもあります。

当たり前の日常に戻るという望みをかなえるために

在宅治療に切り替えることにより、自由に外出ができるようになる、住み慣れた家での日常生活を送ることができるという利点がある反面、金銭や孤独感への対応などの問題がいくつか挙げられます。

ひとりですべてを解決させようとすると、非常に苦しいものです。公的サービスで、在宅医療をサポートする体制も整いつつあります。また、ボランティア団体も多くあります。いろいろな人の助けを得ながら、自分らしくすごすための環境を整えていくことが、大切です。

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