植物の毒性を生かした抗がん剤?!

強い毒性を持つ植物からその有毒成分を抽出して作った抗がん剤「植物アルカロイド」をご存知ですか?使用されている植物アルカロイド抗がん剤は全部で3種類で、それぞれ異なる作用や特徴を持っています。今回は、植物アルカロイド抗がん剤の作用や副作用などを詳しくご紹介します。

植物アルカロイドとは?

「植物アルカロイド」には3つの種類があり、「ビンアルカロイド系」「タキサン系」「トポイソメラーゼ阻害剤」に分けられます。これらは、それぞれ抽出する植物も違いますし、作用も大きく異なります。

ビンカアルカロイド系

代表的な薬剤と適応となるがん
ビンカアルカロイドは、「ニチニチソウ」という植物から抽出した成分およびその仲間の成分をさします。代表的な抗がん剤「ビンクリスチン」や「ビンブラスチン」「ビンデシン」「ビノレルビン」などがあり、主に精巣がん、神経芽腫、乳がん、肺がんなどに使用されています。

はたらき
このビンカアルカロイド系の抗がん剤は、がん細胞の分裂を阻止する作用があります。細胞分裂の際に重要なはたらきをする「微小管」の形成を阻害することによって、がん細胞の分裂を抑制します。

副作用
副作用は主に、手足のしびれなどの神経障害があげられます。特にビンクリスチンは神経障害の副作用が強く出る傾向があります。その他にも、ビンカアルカロイド系の抗がん剤は、吐き気、嘔吐、腹痛、けいれん、脱毛などの副作用があります。

タキサン系

代表的な薬剤と適応となるがん
タキサン系の抗がん剤は、「セイヨウイチイ」から抽出された成分を使用しています。このタキサン系の抗がん剤は比較的新しく、代表的な薬剤として「パクリタキセル」や「ドセタキセル」などがあります。このタキサン系の抗がん剤は、多くのがんへの効果が見られ、乳がん、子宮がん、卵巣がん、肺がん、胃がん、頭部のがん(脳腫瘍は除く)などに用いられています。

はたらき
タキサン系の抗がん剤も、上記のビンカアルカロイド系の薬剤と同様、微小管に作用し、がん細胞の分裂を抑制します。

副作用
タキサン系の抗がん剤の副作用には、強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)による呼吸困難や血圧低下が見られる場合があります。また、むくみや筋肉痛、手足のしびれなども、よく見られる副作用としてあげられています。しかし、他の抗がん剤に多く見られる吐き気や嘔吐の症状は比較的軽いと言われています。

トポイソメラーゼ阻害剤

代表的な薬剤と適応となるがん
トポイソメラーゼ阻害剤は、「チョウセンアサガオ」の成分を抽出した「エトポシド」「イリノテカン」などの抗がん剤です。適応となるがんの種類は、肺がん、胃がん、卵巣がん、子宮がん、悪性リンパ腫などです。「エトポシド」は白血病や精巣がんに、「イリノテカン」は大腸がんにも用いられています。

はたらき
トポイソメラーゼ阻害剤のはたらきは、その名の通りトポイソメラーゼという酵素を阻害することにあります。細胞分裂の際にDNAの切断と結合に関わる酵素、トポイソメラーゼのはたらきが阻害され、がん細胞を死滅へと導きます。

副作用
トポイソメラーゼ阻害剤の副作用としては、強い骨髄抑制が見られます。また、「イリノテカン」は下痢を引き起こす可能性があります。「エトポシド」は脱毛しやすく、アレルギー反応を起こすこともあります。

それぞれ異なる作用がある「植物アルカロイド抗がん剤」
このように、「ビンカアルカロイド系」「タキサン系」「トポイソメラーゼ阻害剤」3つの植物アルカロイド抗がん剤には、適応となるがんも副作用もそれぞれ異なります。「植物アルカロイド抗がん剤」と言っても、具体的にどの薬をさしているのか、注意を払う必要があります。