吐く息で肺がんが分かる?

自動車の運転中、飲酒の度合いをチェックするために、吐く息を検査されることがありますね。そのような方法を、がんの診断にも応用できないか? という考えから、今、複数の研究が行われています。そして、実験の結果などが報告されるようになりました。

では、現在どのような研究成果が上がっているのでしょうか。

吐く息から細胞活動の情報が得られる

私たちの吐く息からは、体内の細胞活動に関するいろいろなことが分かるといわれています。そして、正しい方法で息の検査を行えば、分裂の盛んながん細胞の情報も得られると考えられているのです。

米国クリーブランド・クリニックのリード・ドウェイク博士によると、息の中に含まれるさまざまな物質が新たに発見されるようになったとのこと。このような考えから、現在複数の医学的研究が進められています。

最近ではラトヴィア大学が、肺がんの検知についての試験結果を報告しています。それは、一体どのような内容なのでしょうか。

エレクトリックノーズで肺がんを検知

2013年の9月に行われたヨーロッパ呼吸器学会総会において、ラトヴィア大学は「エレクトリックノーズ」という機器を用いた検査の試験結果を報告しました。「エレクトリックノーズ」は、人間の吐く息を元に病気を検知する機器です。

この試験は、このエレクトリックノーズを用いて呼気(人の吐く息)を調べることにより、肺がんの検知を試みるという内容でした。

252人の肺がん患者と、223人の肺がんにかかっていない人を対象に行われ、このうち、210人は喫煙者、265人は非喫煙者でした。

その結果、喫煙者で肺がんにかかっている119人のうち、114人を正確に検知することができました。また、非喫煙者では、肺がんにかかっている123人全員のがんを検知したものの、がんにかかっていなかった5人も肺がん患者と診断されました。

今回の試験においては100%正確にがんを検知することはできなかったものの、検知率がかなり高かったということは、注目に値します。

今後さらに診断の精度を高めることが期待される

このように、吐く息からがんを検知する検査方法は検知率が上がってきていますが、今後さらに精度が高まれば、より臨床において利用しやすくなるでしょう。

すでに人間の吐く息の検査は、医療現場において、がん以外のさまざま病気のために用いられています。たとえば、心臓移植を行った患者の呼気から、拒絶反応が起こっているかどうかのチェックをする場合があります。また、ぜん息の患者の吐く息から、薬物治療が効いているかどうかの判断を行うケースもあるようです。

がんについても、今後このように、吐く息の検査が臨床に活かされることが期待されます。患者に負担を与えない技術であるため、精度を高めた上での実用化を待ちたいですね。

Photo:photo credit: Steven Leonti via photopin cc