がんの手術後の傷の痛み、どう付き合う?

がんの三大治療法のひとつである外科療法(手術療法)は、がんの病巣を手術によって取り除きます。そして術後は手術部分の痛みが生じやすくなります。手術をしたのですから、痛いのはあたりまえといえばそれまでですが、その痛みは時として治療後の悩みのひとつになる場合があります。今回はこの手術後の痛みについて焦点をあてて見ていきましょう。

いろいろある術後の痛み

手術すれば痛みが生じるのはごく当然のことのようですが、術後の痛みを引き起こす原因には次のようにいろいろあります。

  • 内臓痛

手術中に、内臓の器官が引っ張られたりすることによって起こる痛みと、胃や腸の運動が抑制されたために起こる痛みがあります。

  • 切ったことによる傷の痛み

主に皮膚表面の痛みですが、じっとしていても感じる鈍い痛みと、傷が引っ張られて感じる鋭い痛みがあります。呼吸の際の体の動きで痛みを感じる場合もあります。

  • 筋肉痛

手術が長時間にわたるとき、体位が変わらないことによって筋肉痛が生じることもあるようです。

痛みはがまんしないで

手術による傷の痛みは、痛みの強さに個人差はあれど誰にでもあるものです。しかし、治療によるものならその痛みをがまんしないといけないということはありません。こんなふうに痛くて大丈夫なのだろうかと心配したり、どのくらいこの痛みが続くのだろうかと不安になったりすることもあるでしょう。ストレスや疲労の原因にもなりますので、痛みがあるときにはがまんしないで担当医や看護師に伝えましょう。

痛みを伝えるときのポイント

術後の痛みも個人差があるうえ主観的なものなので、担当医や看護師に痛みを理解してもらうためにはうまく伝える必要があります。まずは、以下に挙げたポイントを参考に自分の痛みの状態を把握するようにしましょう。治療日記などをつけている方は、痛みの状況についても記録しておくとよいでしょう。痛みを抑えるための薬が出ている方は、何の薬をいつ服用したかについても記録しておくと、痛みの度合いに即した治療につながります。治療日記をつけていない方も、メモ等で記録を残すことをおすすめします。

  • 痛みを感じるとき

痛みはいつも感じるものなのか、あるいは、体を曲げたとき、腕をあげたときなど、痛みを感じるのはどういうときなのか、何をしているときなのかについて意識してみましょう。

  • 痛みを感じる部位

どこが痛むのか、皮膚表面に近いところか、奥のほうなのかについても把握しておきましょう。

  • 痛みの種類

ずきずきするような、あるいは鋭い痛みが走るような、といった痛みの種類についても記録しておきましょう。

  • 痛みの度合い

どのくらい痛いのかということを他人に伝えるのは難しいものです。一般に、0から10のスケールを使って伝えることが推奨されています。0がまったく痛みがない状態、10が痛くて動けないくらいとして、どのくらいの痛みであったかについて記録しておきましょう。

  • 痛みで支障を感じること

痛みがあってできないこと、困ることについても伝えるようにしましょう。夜中に目が覚めてしまう、布団のあげおろしができないなど具体的に伝えることは、痛みを理解してもらううえで役に立ちます。

  • 痛み止めの効き目

痛み止めを服用している方は、その効き具合についても記録しておきましょう。

自分でできる対処法

自分でできる痛みの対処法というものもあります。そのひとつは、痛みが軽減するのはどんなときかを見つけることです。お風呂に入って温まると、痛みが和らぐことはありませんか? あるいは、痛みが和らぐ姿勢はありませんか? どういうときに痛みを感じるのか、このほかにもどういうときに痛みが軽減するのか、痛みを感じないのかということについても意識するとよいでしょう。

次におすすめなのは、気分転換をすることです。痛みを気にしすぎると、ますます痛いような気がしてくることがあります。痛みはストレスの元にもなりますので、おしゃべりや散歩、読書、音楽を聴くなど楽しく過ごす時間を積極的に持つようにしましょう。気がまぎれると痛みも少しは和らぐことが期待できます。

痛みが長く続くときにも相談を

術後の痛みは時間がたつにつれ軽減していくことが多いようです。しかし、時には治療も一段落し、体に異常が認められないにもかかわらず、痛みが続くことがあります。痛みがあると、日常生活に支障をきたしたり、行動範囲が狭まったりし、QOL(生活の質)が低下しがちになります。したがって、痛みが長く続くときにも、がまんせずに担当医に相談しましょう。痛みを治療する麻酔科医などを紹介してもらうこともできます。近年は「ペインクリニック」や「疼痛外来」という名称で痛みの治療を専門にしている医療機関も増えていますので、そういった医療機関にかかるという選択肢もあるでしょう。いずれにしろ、痛みの治療法はその痛みがどのようなものであるかによりますので、まずは担当医によく相談しましょう。


参考: