がん治療中に考えたい確定申告と医療費控除について

がんに限らず、病気の治療や療養には費用がかかります。最近は最先端の治療に関しても保険が適応される場合が多くなりました。ただし、治療期間が長くかかったり、療養生活中は仕事が思うようにできなかったりすると、治療中の収入と支出のバランスに不安を覚えることでしょう。

本来ならば、病気治療中や療養中は体を回復させることに専念したいところ。そうした環境を少しでも整えられるように、税制面での支援のほか、さまざまな治療、療養費に関する支援があります。今回は、安心して治療や療養生活をおくるための工夫を費用の面から考えてみましょう。

公的制度を知ろう

高額療養費制度

利用できる公的制度として、まず最初に考慮したいのが「高額療養費制度」です。

この制度は、同じ月に同じ医療機関を利用して支払った医療費の自己負担分が、設定された一定金額を超過した場合に払い戻される制度です。この制度を利用するためには事前の申請が必要です。

平成27年1月の診療分から自己負担限度額などが見直されていますので、平成26年度から継続して治療、療養中の方は所轄税務署および区役所の相談窓口、医療機関などにお問い合わせください。

平成27年1月診療分からの自己負担限度額は以下のとおりです。所得によって異なります。所得区分で基準となる「標準報酬月額」がわからない場合は、勤め先の担当者などに確認してください。

70歳未満の方

  • 所得区分「標準報酬月額83万円以上の方」:252,600円+(総医療費−842,000円)×1%=自己負担限度額
  • 所得区分「標準報酬月額53万〜79万円の方」:167,400円+(総医療費−558,000円)×1%=自己負担限度額
  • 所得区分「標準報酬月額28万〜50万円の方」:80,100円+(総医療費−267,000円)×1%=自己負担限度額
  • 所得区分「標準報酬月額26万円以下の方」:57,600=自己負担限度額
  • 所得区分「低所得者(市区町村民全の非課税者等):35,400=自己負担限度額

70歳以上75歳未満の方は平成27年1月からも従来の制度内容に変更はありません。ご確認ください。

傷病手当金

治療中や療養中にやむなく仕事を休まなければならない場合に、健康保険から給付を受けられる制度です。申請先は全国健康保険協会ですが、勤め先の担当者に聞いて、手続きを行うようにしましょう。

また、この制度は被保険者が対象であり、一定の条件が必要です。たとえば、業務外で発症した病気やケガであること、療養中は仕事ができないこと、4日以上仕事を休まなくてはならないこと、療養中は給与の支払いがないことなどです。

傷病手当金は標準報酬日額の3分の2相当額が1日につき支払われることになります。

申請をするときは、給与支払いを行っている事業主の証明が必要になりますから、毎月給与支払いのタイミングで申請するのが便利です。

そのほか、治療や療養生活をおくるために退職しなければならなくなった場合は、障害厚生年金を申請することが可能です。申請、手続きについては、勤め先の担当者および市区町村の健康保険窓口などで問い合わせましょう。

確定申告で医療費控除を申請する

この制度では多額の医療費を支払ったときに、所得税、復興特別所得税から控除をしてもらい、払いすぎた税金を還付、あるいは税金額を下げられます。

申請できるのは、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象になります。

また、この制度を適用できる範囲は、ご自身のみならず、家計をともにしている配偶者や親族のために支払った医療費も該当します。ですから、ご家族が治療、療養中に同一生計であれば、医療費を支払った家族が確定申告をして控除を受けることもできます。

医療費控除額の計算方法

では、どれくらいの医療費控除が申請できるか簡単な計算方法を見てみましょう。

医療費控除額=「その年に支払った医療費」−「保険金などで補われた金額」−「10万円または所得金額の5%(どちらか少ない方の金額)」

医療費控除額には限度額があり、最高200万円までとなっています。

控除の対象となる医療費には、以下のものが含まれます。

  • 通院費
  • 往診などを依頼した場合の医師などの送迎費
  • 医療用器具の購入、レンタル費用
  • 治療費など治療・療養に必要と認められた施術費など

医療費控除を申請する場合は、病院など医療施設が発行した領収書などが必要です。

自営業者の方は毎年の確定申告時に申請します。会社にお勤めの給与所得者は、勤め先の担当者に申し出て、年末調整の時期に手続きをしてもらうことが必要です。なお、給与所得者であっても、自分で確定申告を行い、医療費控除を申請することは可能です。こうした場合に行う確定申告を還付申告といいます。特に、年末調整で勤め先に申請書類を提出していない場合は、税務署から税金還付の通知が来ませんので、忘れずに手続きをしないと税金の還付を受けることはできません。ご注意ください。

 

参考: