胃がんを早く見つけ、早く治療するには?

かつて、胃がんは症状が出にくく、発見が遅れがちでした。しかし、近年の医学の発達と、健康診断や人間ドックの普及により、早期で胃がんを発見できるようになりました。胃がんが発生する仕組みや、発見方法、手術の違いなどをお話しします。

塩分の多い食事に注意!胃がんが発生する仕組み

胃は、一時的に食べ物をため、食べ物を消化するところです。この胃の粘膜に発生するがんを胃がんと言います。一昔前までは死亡リスクの極めて高い病気の1つと思われていましたが、現代医療の進歩によって治癒率はかなり向上しました。しかし一方で、症状が出にくいため、やはり恐ろしい病気であることに変わりはありません。

胃がんの危険因子としては、塩分を多く含む食事の摂り過ぎや、ヘリコバクターピロリ菌の感染があげられます。野菜や果物の摂取不足、喫煙、こげたものを摂り過ぎなどにも注意が必要です。

胃の壁の浸食度の程度により、呼び方が変わる

胃の壁は内側から順番に、粘膜層、粘膜筋板、粘膜下層、筋層、漿膜の順番に形成されています。胃がんがどこまで深く進展しているかによって「早期がん」と「進行がん」に分けられます。

初めて胃がんができるときには、胃の粘膜の表面で小さく盛り上がった状態にあり、これがしばらく胃の粘膜から粘膜下層の間にとどまっています。この状態を「早期胃がん」と言います。

しかし、時間の経過とともに胃がんは次第に深くまで侵食していき、筋層まで達してしまいます。この状態を「進行胃がん」といいます。筋層から漿膜までの範囲には、血管やリンパ管が豊富にあります。そのため、この範囲にがんが到達すると、血管やリンパ管の流れに乗って、がんが肺や脳、肝臓などに転移する可能性が高くなります。

胃の違和感は、がんのサイン

胃がんも、その他のがんと同様に早期発見で治療していきたいもの。しかし、胃がんは早期の状態では、症状がないものがほとんどです。早期の自覚症状としては、胃の不快感や違和感、痛みを時折、感じる程度です。そのため、かなり進行するまで発見されずにいる場合が多いのです。

がんが進行して大きくなると、食欲がなくなる、食べ物がひっかかる感じがするといった症状が出ます。同時に、体重減少、貧血などもでてくるでしょう。さらには、血を吐いたり、黒色便(タール便)がでたりすることもあります。

胃に不快感や違和感がある回数が増えてきたら、一度検査を行ってみましょう。

胃がんの検査には、バリウムというX線の造影剤を使う検査と、内視鏡(胃カメラ)を使う検査があります。内視鏡検査は、早期のがんを見つけることに優れています。バリウム検査は、胃の全体像や凹凸の変化をみることに適しています。両検査の特徴を十分に生かすことで、がんを早期に発見することが出来ます。

進行度合いによる手術方法の違い

もし、がんが見つかった場合には、基本的には手術による切除を行います。早期胃がんで転移がないものは、口からいれた内視鏡で、胃がんを含めた胃の表面を切除します。この場合は、体を切り開かずに手術をしますので、治療後は短期間で日常生活に戻れます。

やや進行したがんでは、外科的におなかに数カ所、穴をあけて内視鏡で切除します。通常の手術より、傷がとても小さく、こちらも早期に日常生活復帰可能です。

進行がんでは開腹して胃を2/3〜全部切除します。切除後は腸とつなぎ合わせるため、手術後に食事の取り方の調整が必要で、日常生活の復帰にもやや時間がかかります。このことからも、早期に発見できれば、治療も回復も、早いことがわかります。

症状が出にくい分、十分な予防ケアを

胃がんは症状が出にくいため、発見しにくい病気ですが、健康診断や人間ドックの普及により、早期で胃がんを発見できるようになりました。以前のイメージのように死に至る病気ではなく、早期発見で転移がなければ、治癒率も95%と治る病気になっています

少しでも胃に違和感がある場合には、積極的に検査を受けることが大切です。また、定期的に検診を受け、ご自分の健康状態を常に把握するようにしましょう。

写真 photo credit: Alex E. Proimos via photopin cc