発症も治療もホルモンが影響?がんとホルモンの関係を知る

女性ホルモンや男性ホルモンは、それぞれ体内バランスを調節したり、骨や筋肉の形成を促したりなど大切な働きをするものです。

生きていく上で大切なホルモンですが、時に、乳がんや前立腺がんなど性別特有のがんを誘発するリスクもあります。今回は、女性・男性ホルモンを起因として進行するがんについて詳しく見ていきます。

女性らしさを保つホルモン「エストロゲン」

代表的な女性ホルモンの一つに「エストロゲン」と呼ばれる卵胞ホルモンがあります。これは、肌や髪を美しく保ち、骨密度の維持や、記憶力や精神バランスを保つなど、非常に重要な働きをしています。

ちなみに、エストロゲンは、18歳くらいから40代半ばで成熟期を迎え、閉経後は一気に減ってしまいます。よく耳にする「更年期障害」は、エストロゲン分泌の減少に体が追いつかず、自律神経のコントロールが効きにくくなる状態を指します。

エストロゲンの有無により異なる、乳がん治療法

女性の体のバランスを保つエストロゲンですが、過剰な分泌が続くと、乳がんの発生率を高めることがあります。ゆえに、閉経前の女性に対しては、エストロゲンを抑えるための治療を行います。

乳がんは、女性ホルモンである、エストロゲンの影響を受けて成長するがん。すなわち、エストロゲンを断ってしまえば、乳がんのがん細胞は勢いが抑えられ、徐々に死滅へ導くことが可能であると考えられます。以前はエストロゲンを分泌する卵巣の摘出手術なども行われていましたが、近年では、エストロゲンの分泌を抑えるホルモン治療などが主な治療法として採用されています。ホルモン治療法により、卵巣を摘出するリスクをなくし、再発率を抑える効果があると言われています。

また、閉経後は卵巣からのエストロゲン分泌がなくなるので、治療方法が異なります。アロマテーゼ阻害薬と呼ばれる薬の服用で、閉経後のエストロゲン生成にかかわる酵素、アロマテーゼの働きを抑え、がん細胞の発育を抑制します。

どちらの治療方法でも、エストロゲンの分泌を抑えるので、発汗やのぼせ、イライラなど更年期のような副作用が発生することがあります。症状が重い場合は、医師に相談することも必要になるでしょう。

男性らしさを象徴するホルモン「テストステロン」

男性ホルモンとして代表的なものに「テストステロン」と呼ばれるものがあります。このホルモンは、たんぱく質を合成したり、男性らしい筋肉や骨格生成を促す役割を担っています。

このホルモンも年齢を減るごとに分泌が少なくなってくるため、体のコントロールが追いつかず男性更年期といった症状に陥ることもあります。男性更年期の主な症状は、気力がなくなる、うつ、肥満、骨粗しょう症などです。

前立腺がんとのかかわり

男性ホルモンの影響をうけて成長するがんに、前立腺がんというものがあります。

前立腺とは、男性特有の器官で、尿の排泄をコントロールするほか、前立腺液をを分泌するなど、生殖機能にかかわる臓器です。前立腺の細胞が異常に増殖することにより起こる、前立腺がんは、男性ホルモンがなければ発育することはありません。

前立腺がんの治療法には、男性ホルモンを抑えるために、女性ホルモンの投与などが行われます。男性ホルモンの分泌が抑えられ、前立腺がん細胞を死滅へ導くことが可能であると考えられます。しかし、男性ホルモンの低下により、男性更年期で起こる症状が発生する可能性も出てきます。

ホルモンバランスを整えてがん予防を

女性、男性それぞれの特有の器官にかかわる「乳がん」と「前立腺がん」。これらのがんを予防するためには、ホルモンバランスを整えるのが有効であると考えられています。

ホルモンを整えるためには、栄養バランスのとれた食事をする、十分な睡眠をとる、ストレスをためすぎないなど、根本的な生活習慣に気を遣うことが大切です。年齢とともにホルモンは減少し、バランスは崩れていくものです。だからこそ、日ごろの生活スタイルに注意をしていきましょう。

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