「たばこの副流煙」に潜む、肺がんリスクの上昇

「受動喫煙には、がんのリスクがある」という事は、広く知られるようになってきました。他の人が吸ったタバコの煙を、自分の意思に関係なく吸う状態を指す受動喫煙ですが、どうして発がんのリスクを高めるのでしょうか。また、受動喫煙をしないためには、どういったことに注意が必要なのでしょうか。今回は、詳しい内容をご紹介します。

非喫煙者が吸い込む「副流煙」の危険性

たばこに含まれる多くの有害物質には発がん性物質があり、肺がんなどのリスクを上昇させます。

例えば、たばこの3大有害物質と呼ばれる、ニコチン、タール、一酸化炭素。これらは、血管収縮や酸素欠乏を引き起こします。

実はこの3大有害物質は、喫煙者が吸う主流煙よりも、周りにいる人が吸い込む副流煙に多く含まれているのです。副流煙には、ニコチンが2.8倍、タールが3.4倍、一酸化炭素が4.7倍も多く含まれています(厚生労働省『喫煙と健康』第2版より)。更に問題なのが、副流煙の粒子の細かさです。粒子が細かい分、有害物質が肺の深くまで入り込んでしまいます。

また、受動喫煙は肺がんのリスクを約2倍上昇させてしまうことが報告されています。例えば、イギリスで行われた調査によると、夫の1日あたりの喫煙本数で肺がんで死亡する率が1∼19本で1.5倍、20本以上で1.9倍になることがわかっています。

注意するべき「受動喫煙症」

さまざまな危険が潜んでいる副流煙ですが、現在のところ、どのくらい吸ってしまうと危険かという具体的な基準は出ていません。しかし、副流煙によって気分が悪くなる、吐き気がする頭痛、目や喉の痛みを感じたら、注意が必要です。それは「急性受動喫煙症」と呼ばれる症状の初期症状です。

この状態を放っておくと、「慢性受動喫煙症」になり、アレルギー性皮膚炎、気管支炎、ぜんそく、副鼻腔炎などを発症してしまう可能性があります。初期の軽い症状を感じた場合は、たばこの煙の多い場所は避けることが賢明です。

気づかない副流煙の居場所

最近は、さまざまな場所で分煙が進められていますが、実はいろいろな場所に副流煙は潜んでいます。

喫煙者が吐き出す息や洋服には有害物質が残っていまので、喫煙後30分以内に室内に戻ってくると室内の空気も汚染されてしまいます。

また、レストランなどで、仕切りやドア越しの喫煙席から流れてくる煙にも注意が必要です。店内に空気清浄機があると充分に分煙が出来ているように思いますが、これは大きな間違いなのです。空気清浄機は、一酸化炭素などガスの有害物質は防ぐことができませんので、完全な分煙が出来ているとは言い切れません。

職場などで受動喫煙の機会を増やしてしまうと、わずかですが肺がんのリスクを高めてしまうことも報告されています。副流煙を吸い込む環境はなるべく避けることが、対策になるでしょう。

喫煙者も非喫煙者も正しい知識を!

「受動喫煙とがんリスク」ということは、一般的に浸透してはいますが、具体的な内容や対策は、まだまだ知られていないように思います。嗜好品であるたばこですが、副流煙によって周囲の人の発がんリスクを高めてしまうこともあります。喫煙者は、受動喫煙への知識を正しく持つことが大切です。

また、たばこの煙で、頭痛や吐き気、目や喉が痛む初期症状を感じた場合は、危険信号です。受動喫煙の可能性がある場所を極力避けましょう。

画像URL  http://pixabay.com/ja/禁煙-タバコ-肺癌-不健康-煙-たばこ-シガー-禁煙条例-3621/