がん治療におけるガンマナイフ治療

がんの治療法には、手術、抗がん剤治療、放射線治療が三大治療としてよく知られています。日本ではこれらが中心的な治療法として用いられていますが、世界を見ると治療法の選択頻度に差があるようです。とくに欧米では、放射線治療を選択するケースが多いようですが、日本では圧倒的に手術を選択する割合が高いということです。その背景には、日本の外科医療における精度の高さが挙げられます。しかし一方で、放射線医療に関して外科的医療に比べ、対応できる医者の数や設備など医療体制の格差が要因のようです。こうしたなか、近年とくに注目を集めてきているのが放射線治療におけるガンマナイフ治療です。ガンマナイフ治療とはどのようなものなのでしょうか? 

ガンマナイフ治療とは

ガンマナイフはがんを治療する装置の1つです。脳の病変に対して、さまざまな検査によって特定された病変の場所や方向に向けて、ピンポイントに放射線を照射して治療ができます。

この装置は、放射線を一点に集めて、誤差1ミリ以内という高精度で病変に放射線を照射して治療します。その様子がまるでナイフで病変を切り取るような的確さであることから、ガンマナイフと呼ばれています。

ガンマナイフ治療は平成8年4月1日から健康保険が適用されるようになりました。これによって、脳腫瘍全般、脳血管奇形など多くの治療で選択しやすくなったといえます。

日本国内では50万台以上のガンマナイフ装置が導入されており、治療方法としても広く認知されています。

ガンマナイフ治療のメリット

ガンマナイフ治療は半球状に配置された線源から放射されるガンマ線を病変に正確に集束して当てます。線源から出るガンマ線のひとつひとつは微弱ですが、たくさんの線源が集束するため、病変に当たる放射線は高度な線量となります。ひとつひとつの線量が微弱であるということは、病変のまわりの正常な細胞におよぼす影響が極めて少ないということでもあります。また、従来の手術では治療が難しかった脳深部や血管、神経が集まる危険な部位でも照射治療ができます。

つまり、ガンマナイフ治療のメリットは、開頭することなく、脳腫瘍などの治療が進められるということです。また、放射線により正常な脳細胞を傷つけることで発症する危険があった後遺症なども抑えることができます。

さらに、治療の放射線照射時間も短く入院治療も3日程度なので、高齢や体調を維持するのが難しいという方にも治療の可能性が広がりました。こうしたことも大きなメリットといえます。

治療の流れ

では、ガンマナイフ治療はどのように行われるのでしょうか。その流れを見ていきましょう。
多くの場合、入院は原則として2泊3日としている医療施設が多いようです。1日目はガンマナイフの治療に対する説明などがあり、2日目に治療を実施、3日目に退院というスケジュールを組んでいます。

治療に要する期間が短いので、もし疑問点や不安なことがあれば、初日の説明のときに、納得がいくまで話を聞くことが大切です。

2日目の治療実施にあたっては、まず、金属のフレームを専用のピンで頭部に固定させ、局所麻酔が使用されます。

MRI・CT・血管撮影などをもとにして、病変の正確な位置、形などの情報を集め、担当医師が中心となって緻密な治療計画を立てます。治療計画では、病変へ照射する放射線量などが決定されます。

その後、治療計画に従って照射が行われますが、治療時間は2、3時間程度が基本です。

治療実施後、1日の入院で様子を監察しながら、体調に問題がなければ退院となります。

ガンマナイフ治療の可能性

ガンマナイフ治療は、外科療法によって治療することが難しいと判断されてきた脳深部の病変に対して治療効果を発揮してきました。がん治療のなかの放射線治療においても、正常な細胞を傷つけることを極力少なくできる治療法として注目されています。

最近では、従来のように頭蓋内疾患のみならず、脊索部、眼窩内、副鼻腔、咽頭腫瘍などの頭蓋底腫瘍などの疾患にも採用されるようになってきています。

また、がん治療においても、ガンマナイフ治療が直径3cm以下の病巣に効果を発揮しているという結果から、それ以上の大きな病巣に対しては、手術などの方法と組み合わせて行われるなど、多くの症例についても、治療効果向上が期待されています。

治療費について

ガンマナイフ治療に含まれる費用は、ガンマナイフの治療費、入院費、検査費などでおよそ60万円程度とされています。しかし、ガンマナイフ治療は健康保険が適用されますので、実際の負担額は、加入されている保険の種類にもよりますが、およそ4万円〜20万円のようです。

また、年末控除や確定申告のときに、医療費控除を申告すれば還付金を受けることができるなど、経済負担を軽減できる手立てもあります。事前に勤め先の担当者や医療機関、または市区町村の相談窓口、所轄の税務署などに問い合わせてみましょう。

 

参考:

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