脱毛の原因とケア、どうしたらいい?

がんの治療中や療養中に気になる脱毛……。脱毛はなぜ起こるのでしょうか? 脱毛の起こる時期や期間は? そして、実際のケアはどのようにすればよいのでしょうか? 今回は、それらの疑問にお答えします。脱毛時の対応や、シャンプーをはじめとした具体的なケア用品の準備、頭皮ケアの方法とそのポイントについてご紹介します。

がん治療中、療養中の脱毛はなぜ起こる?

脱毛は、治療の組み合わせや一人ひとりの体の状態によって程度は異なりますが、抗がん剤や放射線治療による副作用のひとつの症状として起こります。残念ながら現時点では、治療にともなう副作用による脱毛を防ぐ方法は明らかになっていません。脱毛についてあらかじめ理解を深めておき、脱毛が起きたときには落ち着いて適切なケアができるようにしておきましょう。

がん治療中の脱毛は、大きく抗がん剤によるものと放射線治療によるものがあげられます。それぞれの脱毛の特徴は以下の通りです。

  • 抗がん剤治療によるもの

抗がん剤が毛を作る細胞に何らかの影響をおよぼすことが原因で脱毛が生じます。治療の組み合わせなどにもよりますが、化学療法による脱毛はほとんどの場合一時的なものと考えられています。

治療開始後2~3週間たつと、脱毛が認められるようになります。そして、治療終了後2~6カ月で毛の再生が始まります。その後、8~12カ月かけて元に戻っていきます。再生しはじめの毛は、毛質が変化していたり、太さなどにばらつきが見られる場合もあり、治療前のような髪型やセットができるまでにはさらに時間を要することもあります。

  • 放射線治療によるもの

放射線治療による脱毛は、放射線を照射した部位に生じます。これは、放射線が病巣だけでなく正常な皮膚や根毛にも影響をおよぼすためと考えられています。脱毛の程度や範囲は、放射線の強さや範囲、照射方向などによって異なります。

脱毛が認められるようになるのは、治療開始後2~3週間が経ったころからです。毛根や皮膚が放射線によって受けたダメージの程度にもよりますが、治療終了後2~6カ月に皮膚の炎症が治まってくるとともに毛の再生が始まります。ごく稀ですが、永久脱毛となる場合もあります。

心身共にゆとりをもって備えよう!

脱毛のケアで大切なのは、心身共にゆとりをもった準備です。自分の受ける治療方針が決定したら、脱毛の起こる時期や程度を確認し、それにあわせて準備をすすめましょう。「脱毛は治療後の一時的なもの」という心持ちでいることが大切です。

準備のポイント

脱毛にむけた準備のポイントを具体的に見ていきましょう。

  • ヘアスタイル

治療を始める前に、髪の長い方はあらかじめ短かめに髪をカットしておくと、抜け毛が目立ちにくくなります。

  • ヘア、頭皮ケア

抗がん剤治療のときには、抵抗力も低下していくので、感染や炎症などの頭膚トラブルを起こしやすくなります。それを防ぐためにも、清潔に保つことを心がけましょう。放射線治療を頭部に行っている人は、特に皮膚が敏感となっていますので、皮膚症状が落ち着くまではシャンプーやリンスの使用は控え、指の腹を使い、ぬるま湯で頭皮に傷をつけないように優しく洗うことを心がけましょう。

シャンプーを使用する場合は、頭膚や髪に刺激の少ないものを使用しましょう。しっかりと泡立てて泡で優しく洗いましょう。しっかり泡立てることで殺菌作用を期待することもできます。「フケやかゆみを抑える」成分を含む医薬部外品の商品は、頭膚への刺激が強いため使用を避けましょう。ベビーシャンプーは、低刺激ですが成人には洗浄力が弱く感じられることがあります。病院の売店や処方箋取り扱い薬局などで、皮膚の弱い方、敏感な方、アレルギー体質の方向けのシャンプーを取り扱っている場合があるので、相談してみるのもよいでしょう。

ドライヤーを使用する場合は、できるだけ低温で使用しましょう。抜け毛を心配して櫛を使用しないと、髪が絡まって、かえって抜け毛や髪のダメージを増加させてしまうこともありますので、静電気の起きにくい頭皮に低刺激のものを使用して、きちんと髪をとかしましょう。

毛染めやパーマは頭皮に刺激が強いため、必ず医師に相談し、許可がでるまでは控えましょう。

  • 医療用かつら、ヴィッグ

治療が始まると、治療や検査などで何かと忙しく、心身共に疲れやすくもなり、ウイッグが必要になっても、気に入るものを探したり、買い物に出かけるのも億劫に思うかもしれません。そんなときも準備しておけば、おしゃれをして気分転換を図ることもできるでしょう。なるべく、ウィッグは治療を始める前に準備しておくことをおすすめします。形や形状、素材もさまざまなものが手に入るようになっていますので、治療方針が決定した際に、担当医や看護師にウィッグなどのパンフレットをもらったり、実際に現物を展示している店舗などを訪れたりして情報収集をしておくとよいでしょう。

  • 帽子、ナイトキャップ、バンダナなど

帽子やナイトキャップ、バンダナなどを使用すると抜け毛が気にならず、衣類や寝具などのお手入れも楽になります。静電気を生じにくい素材、肌に低刺激の天然素材のものを選択するのがおすすめです。

まとめ

脱毛は、一時的な症状と理解していても外見上の大きな変化を伴うため、心理的にもショックを受けることが多いようです。気がかりなことや困っていることは一人で抱え込まず、医療スタッフや患者会の仲間などに相談してみましょう。経験のある人たちと交流をもつことは、予想以上に実用的なアドバイスを得られることもあります。脱毛も一人ひとり状態は異なりますので、情報収集をしながら、ご自身にあった対処方法や工夫を探し、試してみることが大切です。

 

参考: