乳がんと診断を受けた人の将来の妊娠

一般のがんよりも発がん年齢が低い、乳がん。20代、30代でがん宣告を受ける場合もあります。一度乳がんの宣告を受けたあとの妊娠にはどのような問題が考えられるでしょうか。さまざまな不安や問題について掘り下げていきます。

乳がん治療による妊娠への影響

乳がん治療における妊娠への影響はどのようなものがあるでしょうか。治療後の母体が胎児に及ぼす影響を含めて考えてみました。

乳がんの副作用と妊娠の関係

乳がんの治療に使われる抗がん剤には、閉経を早めてしまうものがあります。卵巣機能へ影響を及ぼすと考えられている抗がん剤で代表的なものに、シクロホスファミドと呼ばれる物質があります。
恒久的に閉経してしまう確率は、シクロホスファミドを含む抗がん剤を投与した量、期間と合わせて、患者さんの年齢も大きく関わっています。30代以下の場合は、10パーセント以下なのに対して、30代は10~40パーセント、40代以上は80~90パーセントと非常に高い確率となっています。
卵巣機能に影響を与えない抗がん剤の研究も進められていますが、いまだ研究の段階となっています。

妊娠中にがん治療を行う場合は?

では、妊娠中に乳がんと診断された場合は、どうなるのでしょうか。妊娠の継続や出産、授乳によってがんの進行が早まることはありません。

しかし放射線治療は、胎児への影響が高く、奇形を起こす可能性が高いので行いません。また、妊娠の段階によって受けられる治療方法も異なります。
妊娠前期は、赤ちゃんの体を作る大切な時期なので、治療や検査に注意が必要です。一方、中期や後期になると抗がん剤などが胎児へ及ぼす影響が低くなるので、状況によって使用することもあります。いずれにしても、担当医師と相談しながら治療を行うことが大切です。

治療後の妊娠や再発を考える

抗がん剤による乳がん治療が完了した後に、妊娠ができるタイミングは、治療後に数回月経を経てからが良いといわれています。これは、薬剤による卵子への影響を考えているからです。
また、ホルモン薬による治療が完了した後は、服用から2ヶ月は妊娠を避けるほうが良いとされています。ホルモン薬は、胎児に奇形を起こす可能性があるからです。

さらに、再発を念頭に入れて妊娠を考えた方が良いという意見もあります。乳がんの再発に個人差はありますが、再発する方は治療後2年~3年で、がんが見つかっています。そのため、治療してから2年~3年は妊娠を避けたほうが良いという専門家もいます。

情報にふりまわされず、正しい情報を

乳がんになったら、もう子供を生むことはできないのではないか、と悲観される方もいるかもしれません。しかし実際は、乳がん後の妊娠、出産には一定の期間をおけば、何の問題もないでしょう。

いろいろな情報が飛び交っていますが、振り回されず、医師とよく相談して正しい情報を得られるようにしましょう。女性の一生に関わる決断ですので、ご本人が納得できるような結果が出せるようにしたいものですね。

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