飲酒は発がんリスクを高める?

世界保健機構(WHO)の報告によると、飲酒は口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓、大腸、女性の乳房のがんに深く関係があるとのことです。お酒を飲むのは楽しいことですが、「アルコールと発がんの関係」を正しく知って、がんのリスクを下げることは大切なことです。

アルコールは体内に入ると発がん性物質になることも
アルコールは、体内のアルコール脱水素酵素によって、アセトアルデヒドに代謝されます。さらに、アセトアルデヒドは、アルデヒド脱水素酵素によって、酢酸に分解されます。これらの酵素の働きの強さは、遺伝によって強弱があります。

アルコールを分解する酵素の働きが弱いと、アルコールやアセトアルデヒドの分解が遅くなります。アルコールやアセトアルデヒドが体内に長く残ると、お酒を飲んだあとに顔が赤くなったり、二日酔いになったりするのです。

酔いの原因となるアルコールとアセトアルデヒドには、発がん性があります。アルコールとアセトアルデヒドが分解されずに長く体内に残ってしまうと、発がんリスクが上昇するので、飲酒ががんに関係あるのです。

部位別に見る、アルコールと発がんの関係

飲酒による発がんリスクを、がんの種類別にまとめました。

1.口腔、咽頭、食道がん

厚生労働省の研究では、酵素の活性が弱い方はそうでない方に比べ、少量飲酒でも8倍以上の食道がんの発がんリスクがあるとあります。また、3合以上飲酒した場合は114倍にまで発がんリスクが高まる、と報告されています。

2.大腸がん

欧米の研究では、ビール1000ml(エタノール換算40g)で大腸がんリスクが1.4倍になると言われています。ちなみに、日本人は欧米人に比べ、大腸がんのリスクが若干多いという報告があります。

3.乳がん

欧米の研究では、ビール250ml(エタノール換算10g)増加するごとに、乳がんになるリスクが7.1%増加すると言われています。しかし、日本の研究では、まだはっきりとした結果が出ていません。

4.肝臓がん

肝硬変や肝炎ウイルス(C型、B型)だけではなく、アルコールも肝臓がんの原因の1つとして考えられています。特に、C型肝炎の感染者は、アルコールが肝臓の肝硬変への進展を促進し、発がん年齢を低下させるとの報告があります。

発がんに対するアルコールの安全量は不明

厚生労働省の研究によると、男性に発生したがん全体の約13%が、1週間にエタノール換算300g以上の飲酒をしていたとのことです。女性では飲酒の影響は、まだ明らかにはなっていません。しかし、欧米での乳がんリスクの研究結果を見ても、性別を問わず飲酒と発がんリスクは関係があると言えるでしょう。

残念ながら現在のところ、発がんに関して安全な飲酒量というものは示されていません。アルコールは、適量を楽しめばストレス解消や気分転換に有用です。しかし、飲み過ぎはがん発生の原因の1つになることを念頭に入れておくことも必要です。飲むときには、節度を守ってアルコールを楽しみましょう。

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お酒を飲むのは楽しいことですが、飲酒は口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓、大腸、女性の乳房のがんに深く関係があります。アルコールが持つ発がんリスクとは一体どんなものなのでしょうか? 楽しい宴席で欠かせないアルコール類とは、どのように付き合っていけば良いのか?アルコールと発がんリスクについて正しい知識を持ちましょう。

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