がんの療養中もペットとの生活を続けるためのポイント

犬や猫といったペットがもたらす安心感や癒しは、飼い主の方にとって何ものにも代えがたいものです。きっと、がんを患って治療や療養をするなかでも、ペットとともに生活をしたいと考える人は多いでしょう。そこで今回は、がんの療養生活でペットとの暮らしを続けていくためのポイントをご紹介します。

ペットとふれあうことの効果

近年ではペットを家族の一員として考え、「コンパニオンアニマル」や「伴侶動物」といった呼称を用いるケースが増えています。また、動物とのふれあいによる心身への影響として、リラックス効果やストレスの緩和、血圧の低下などが報告されており、がん治療においても動物を介した補助療法が注目されています。

特に終末期にあるがん患者さんは、身体的にも精神的にも苦痛を感じることが多いため、動物とのふれあいによるQOL(生活の質)の改善が期待されています。

緩和ケア病棟に入院している終末期のがん患者さんを対象に、大型犬を用いた動物介在活動を行った2012年の研究では、以下のような効果があったと報告されています。

  • 身体的な安楽が得られる
  • 幸福感が得られる
  • 癒しが得られる

ほかにも、病室を心地よく感じる、安らぎの時間を楽しめるといった効果があったとのことです。自宅での療養生活でも、大切なペットとふれあい喜びや楽しみを感じることで、つらい症状を和らげたり、一時的にでも忘れたりできるのではないかと期待されます。

ペットの健康を守って感染を防ごう

ペットを飼っている人が、がんの療養生活をするうえで気になることは、ペットが原因となる感染症でしょう。そこで大切になってくるのが、ペットの健康状態です。

ケージや水槽、バスケット、ベッド、トイレなどは、こまめに掃除してください。エサや水の入れ物は常に清潔に保ち、タオルやブランケットといったペットの身の回り品も定期的に洗濯や天日干しをしましょう。鳥かごは日光や熱湯で定期的に消毒することをおすすめします。

また、ブラッシングやシャンプーが必要なペットの場合は、定期的に行ってください。水浴びを好む小鳥には、新鮮な水を用意しましょう。

そして、ペットの体調について日ごろから気を配るようにしてください。食欲の有無、鳴き声や呼吸の状態、毛や羽のつやの状態や抜けの有無、目やにや鼻水、耳だれの有無、咳やくしゃみの有無、フンや尿の状態などがチェックポイントです。様子がおかしい場合は、獣医に相談しましょう。

さらに、犬や猫は室内飼いであっても以下のケアを忘れないでください。

  • ワクチンの接種
  • ノミ、ダニ、寄生虫などの駆除と予防
  • 定期的な爪切り
  • 獣医による定期的な健康診断

療養生活のなかでペットとふれあう際の注意点

ペットからの感染を防ぐためには、ふれあうときにも注意が必要です。特に、抗がん剤などの治療を受けたときには一時的に免疫力が低下する場合があるので、日ごろの習慣から見直すことが大切です。

日常の世話について

ご家族の協力が得られる場合は、ペットの排せつ物の処理や、ケージ、水槽、トイレなどの用具の洗浄・掃除はお願いしたほうがいいでしょう。自分自身でやる場合は使い捨ての手袋を使い、作業を終えたらしっかりと手洗いをしてください。

また、散歩から帰ったペットの足を拭くときやお風呂に入れるときに、噛まれたり引っかかれたりする可能性があります。できれば家族などに代わってもらいましょう。

過剰な接触は禁物

動物では無症状でも、人体では病気を引き起こす病原体があります。ペットとの過剰な接触は避け、以下のような習慣がある場合には見直しましょう。

  • 一緒に寝る
  • 顔をなめさせたり、キスをしたりする
  • 自分の食器や箸、スプーンから直接食べさせる
  • 口移しで食べものを与える

なお、ペットにふれたあとは、うがいや手洗いをしてください。

ペット以外の生きものにも気をつけよう

人と動物との共通感染症は気になるところですが、それを過度に恐れるのではなく、まずはペットの健康維持に取り組みましょう。そして、感染予防を心がけるとともに、ペットとの過剰な接触は避けるようにしてください。体調が優れないときには、ペットとのふれあいを控えることも大切です。

また、どのような病気を持っているのかわからないため、野良猫や野良犬、生後6か月以内の子犬や子猫などを新たにペットとして迎えるのは避けたほうがいいかもしれません。

さらに、がん患者さん自身のためにもペットのためにも、ネズミや野鳥、ほかの犬や猫などが敷地内や家の中に入ってこないように気をつけましょう。

万が一、感染症で受診することになったときは、ペットを飼っていること、ペットの健康状態、飼育状況について、医師にきちんと伝えてください。

 

参考: