がんの治療・療養中に生じる疲労感の改善が期待できる食品

がんの治療・療養中には、体がだるい、やる気が出ないといった疲労感や倦怠感を感じることが少なくありません。そこで今回は、疲労感や倦怠感の改善が期待できる食事について考えてみましょう。野菜、フルーツ、ナッツなどを取り入れた疲労軽減食の効果を調べた2017年の報告も併せてご紹介します。

がん治療・療養中の疲労感の原因は?

がんの治療・療養中に感じる疲労は、全身の衰弱感だけではなく、やる気や集中力が欠けるような精神的な疲労感も含まれます。そして、このような疲労感は、化学療法を受けたほとんどのがん患者さんが経験するといわれています。症状は初回の治療中から出現し、回数を重ねると蓄積されやすいという特徴があるようです。

薬剤の副作用で疲労感や倦怠感が生じるメカニズムは、まだよくわかっていません。しかし、発熱、痛み、貧血、代謝異常が原因となるケースや、吐き気や下痢といったほかの副作用によって栄養の摂取に問題が生じたときに引き起こされるケースもあります。

食生活によって疲労と睡眠が改善

疲労感は慢性的な炎症と関連しており、抗酸化作用が症状の出現や大きさに影響するといわれています。そこで、抗酸化物質の多い食事による疲労の改善について調べるランダム化比較試験がアメリカで行われました。

試験の対象となった人は、以下のとおりです。

  • 乳がんと診断され、臨床試験を開始する1年以上前にホルモン療法以外のがん治療を終えている人
  • 試験開始時点で、がんがないと考えられる18歳以上の人
  • 標準的な治療を受けたにも関わらず、中程度から重度の疲労感が持続している人
  • 果物と野菜の1日の摂取量が少ない人

そして、健康に関する一般的なカリキュラムを受けるだけのグループと、疲労軽減食を食事に取り入れるグループに分けて、3カ月後の変化を比較しました。

なお、疲労軽減食は以下のようなメニューです。

  • 全粒粉の穀物
  • 緑の葉物、トマト、黄色かオレンジ色の野菜
  • ビタミンCが豊富な果物
  • オメガ3脂肪酸を豊富に含むもの(脂ののった魚、ナッツや種子類)

両グループの疲労感の改善には大きな差が

3カ月後に疲労度の改善した人は、健康に関する一般的なカリキュラムを受けたグループでは約8%だったのに対し、疲労軽減食をとったグループでは約44%と大きな差がみられました。

また、睡眠の質については、カリキュラムのグループが約0.9ポイントの改善だったところ、疲労軽減食のグループでは約2.5ポイントとなっています。

さらに、疲労軽減食のグループは3オメガ脂肪酸やカロテノイド、ルテイン、リコペン(リコピン)などの血中濃度が上昇するとともに、飽和脂肪酸の割合が減少していました。

疲労感があるときに避けたほうがいい食品

抗酸化作用の高い食品に疲労軽減効果がある可能性が示されましたが、反対に避けたほうがいいと考えられる食品にはどのようなものがあるのでしょうか。

飴やスナック菓子、炭酸飲料のような、高カロリーでありながら栄養素がほとんど含まれない食品はとりすぎないようにしましょう。このような食品は、摂取直後は一時的に元気が出る感じがするかもしれませんが、その後さらに疲労感が増した状態に陥るケースが多いようです。

また、疲労感の軽減には、7~8時間の十分な睡眠も重要です。なかなか寝つけない人は、就寝する約8時間前からコーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク、チョコレートといったカフェインを含む食品を摂取しないようにしましょう。

水分補給も忘れずに

水分を十分に摂取することも倦怠感の緩和に役立つとされています。食べるのがつらいときでも、水分は補給するようにしてください。スープやゼリーのようなものでも大丈夫です。1日に必要な水分量としては、500mlのペットボトル換算で男性は約3本、女性は約2本が目安となります。

 

参考: