がん治療で生じるほてりや発汗の原因と対策

がん治療でホルモン療法を受けると、ほてりや発汗を経験する人が多いようです。これは女性だけの症状ではなく、男性にも起こります。そこで今回は、日常生活を送るうえでやっかいな突然のほてりと発汗の原因、およびその対策についてご紹介します。

ホルモン療法によるほてりや発汗

発汗は、重要な体温調節機能のひとつです。しかし、暑さや運動時の体の発熱などとは無関係に顔が紅潮し、汗が流れ出ることがあります。ホットフラッシュといわれるこのような症状は、女性の更年期障害でよくみられますが、がんの治療中にも生じることがあります。

ホルモン療法(内分泌療法)は、乳がんや前立腺がんなどホルモンががん細胞の増殖に関与していると考えられる場合に用いられます。その副作用でよく見られる症状が、ほてりや発汗なのです。

以下で、乳がんと前立腺がんのホルモン療法についてみていきましょう。

乳がんのホルモン療法

乳がんの患者さんの約70%がホルモン療法を受けています。閉経前、閉経前後の患者さんにはタモキシフェン、閉経後の患者さんにはアロマターゼ阻害剤が用いられます。

ホルモン療法によってほてりや発汗などの更年期障害のような症状が出現するのは、体内の重要な働きを担うエストロゲンが抑制されることで自律神経が乱れ、温度調節中枢が適切に機能しなくなるためだと考えられています。

2008~2010年のがん研有明病院乳腺センターの調べによると、タモキシフェンを服用する患者さんの約50%に、また、アロマターゼ阻害剤を服用する患者さんの約30%前後にほてりや発汗などのホットフラッシュがみられており、出現頻度の高い症状であることがわかります。

ホルモン療法は5~10年の長期に渡って続けることになるため、体が慣れるとホットフラッシュの症状が治まる場合があります。また、症状を軽減する薬剤もあるので、副作用がつらいときはがまんすることなく担当医に相談しましょう。

前立腺がんのホルモン療法

前立腺がんにおいても、ホルモン療法は効果的な治療法です。2000年の泌尿器科学会のアンケートでは、約50%の患者さんがホルモン療法を受けていることがわかりました。

精巣摘除術、およびLH-RHアゴニストの皮下注射は、どちらもほてりや発汗などの症状が30~40%と高い頻度で出現することが知られています。ホルモン療法開始後1~2カ月ほどで症状が生じることが多く、数カ月経過すると軽減するといわれています。しかし、副作用がつらい場合はがまんせずに担当医に相談して、症状を抑える薬の処方や薬剤の変更を検討してもらいましょう。

日常生活におけるほてりや発汗の対処法

汗をかくと体を冷やしてしまいます。日常生活を送るなかで、患者さん自身でできる対処法を確認しましょう。

  • 暑さや寒さの調整ができるように、薄手の脱ぎ着しやすい衣服を重ね着しましょう。カーディガンやスカーフなどが便利です。
  • 掛布団は薄手のものを重ねて、温度調節がしやすいようにします。多量の汗をかく場合は、タオルを敷くといいでしょう。
  • 下着や衣類は吸湿性・速乾性に優れたものを選ぶようにしましょう。そして、こまめに着替えるようにしてください。
  • 香辛料が多く使われている食事や酸味の強い食事は、ほてりや発汗の症状を強めるといわれています。また、熱い飲み物やカフェインの含まれた飲み物も避けてください。
  • 飲酒は適量にとどめ、喫煙は避けてください。
  • ぬるめのお湯で、入浴やシャワー浴をしましょう。ほてりや発汗の症状を抑える効果があるといわれています。
  • 興奮したりストレスを感じたりすると、ほてりや発汗を誘発するといわれています。平静を心がけ、ストレッチや散歩などで適度に体を動かしたり、趣味を楽しんだりして心身をリフレッシュしましょう。

ひとりで悩まずまずは相談を

ほてりや発汗の症状は、ひとりで悩まずに担当医や看護師に相談しましょう。そして、日常生活にどんな影響が及んでいるのかを具体的に伝えてください。

また、患者会などに参加するのもおすすめです。症状に関する悩みを誰かと共有できると、気持ちが楽になることがあります。対策や対処法に関する情報を交換することができるかもしれません。

 

参考: