血糖コントロールががん予防につながる理由

さまざまな研究結果から、生活習慣病の予防ががんの予防につながることが広く知られています。特に、生活習慣が大きく影響する血糖値の状態は、がんの発生に深く関わります。今回はそのメカニズムと、血糖値コントロールの重要性についてご紹介します。

糖尿病とがんの深い関係

日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会の報告(2013年)によると、糖尿病を患う人はそうでない人に比べてがんのリスクが1.2倍高いそうです。がんの種類別にみると、結腸がんのリスクは1.40倍、すい臓がんのリスクは1.85倍、肝臓がんのリスクは1.97倍にもなります。がんと糖尿病との深い関係は、このように明確な数値として表されているのです。

糖尿病ががんのリスクを高める理由

糖尿病ががんの発症に大きな影響を与える理由としては、以下のようなことが明らかになっています。

インスリン抵抗性

インスリンは体内の血糖値をコントロールする役割を持つホルモンです。食事によって血糖値が上昇するとすい臓から分泌され、主に以下のような働きをします。

  • 臓器細胞にブドウ糖を取り込ませる
  • 筋肉や肝臓がブドウ糖からグリコーゲンを合成するのを促す
  • 蓄えられたグリコーゲンの分解を抑える
  • 脂肪組織で脂肪が合成されるのを促進するとともに、脂肪の分解を抑える

インスリンの働きや感受性が悪く、血糖値が下がりにくくなった状態を「インスリン抵抗性」といいます。その原因は、運動不足やストレス、遺伝的な要因と肥満などの環境要因が複合的に関連していると考えられています。

インスリンの働きが悪くなると、すい臓はインスリンの分泌量を増やすことで血糖値を下げようとします。そうなると血液中のインスリン濃度が高まり、「高インスリン血症」の状態に至ります。

インスリンは血糖値のコントロールのほかに、細胞の成長や増殖を促す働きも持つため、インスリンが過剰になる「高インスリン血症」は、細胞のがん化につながるのではないかと考えられています。

また、高血糖状態は、細胞内の活性酸素などを増やし、酸化ストレスを亢進させます。酸化ストレスはDNAを損傷させるため、細胞のがん化に影響しているといわれています。

肥満

2型糖尿病は、肥満を伴うことが珍しくありません。肥満により蓄積された脂肪組織では慢性的な炎症が生じていることが知られており、この炎症ががんの発症に関わっている可能性が指摘されています。

また、脂肪細胞からは、がんや糖尿病、動脈硬化を抑制する「アディポネクチン」が分泌されています。しかし、肥満状態ではアディポネクチンの血中濃度が低下することも、がん発症の一因になっていると考えられています。

自宅でも実践可能な血糖コントロール

血糖コントロールと聞くと、とても難しいことのように感じるかもしれません。しかし、生活習慣への配慮で取り組むことができるのです。

まずは、糖尿病の治療でも推奨されている「ABCDE」を生活習慣に取り入れましょう。その具体的な内容は以下のとおりです。

A:アルコール(Alcohol)は少量に
B:体重(Body weight)の適正化
C:喫煙(Cigarette smoking)はストップ
D:食事(Diet)は適量に
E:毎日歩いて運動(Exercise)

これらは国立がん研究センターの推奨する「日本人のためのがん予防法(PDF)」の内容とも共通しています。

血糖コントロールの評価には、血糖測定器などの機材が必要です。そこで、定期的に健康診断を受けて専門家に確認してもらい、生活習慣に関するアドバイスを受けるといいでしょう。

 

参考: