膀胱がんの種類と特徴

がん研究振興財団の「がんの統計’16」によると、2016年の部位別予測がん死亡数で最多となっているのは、男性が肺がんで全体の25%を、女性が大腸がんで全体の16%を占めるとされています。それに比べ、膀胱がんによる死亡数は男性が全体の3%、女性が全体の2%と、それほど多くはありません。しかし、膀胱がんはほかの固形がんとは少し異なる性質を持つとされています。そこで今回は、膀胱がんの特徴についてご紹介します。

膀胱と膀胱がんについて

膀胱は骨盤内に位置する臓器で、尿を一時的にためておく畜尿機能と、尿がたまったことを尿意として感じ取って尿を排出する排尿機能を担います。

膀胱や腎盂(じんう)、尿管、そして尿道の一部の内側は尿路上皮という粘膜で覆われており、尿路上皮ががん化すると膀胱がんになります。その90%以上は尿路上皮がんに分類され、扁平上皮がんや腺がんはまれなのだそうです。

膀胱がんの診断に用いられる検査

膀胱がんの診断には、以下のような方法が用いられます。

  • 膀胱鏡検査
    膀胱用の内視鏡を尿道から挿入し、がんの発生部位、形状や大きさ、数などを確認します。
  • 尿細胞診検査
    尿にがん細胞が出ていないかどうかを顕微鏡で確認し、陽性と判定された場合は膀胱がんや腎盂・尿管がんである可能性が高いと考えられます。しかし、陰性の場合でもがんがある可能性があり、多くの場合は、ほかの検査の結果と併せて判断されます。
  • 腹部超音波(エコー)検査
    臓器で反射した超音波の様子を画像化して確認します。隆起しているタイプのがんに有効な検査法です。
  • CT検査
    X線で体内を描き出す検査です。リンパ節転移やほかの臓器への遠隔転移、周辺の臓器への広がりを確認します。
  • MRI検査
    磁気によって画像化する検査法で、筋層浸潤がんの判断に用いられます。
  • 骨シンチグラフィ
    ラジオアイソトープで骨転移の有無を調べます。
  • TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)
    全身麻酔あるいは腰椎麻酔をかけて病変部位の組織を採取し、顕微鏡でがんの種類や筋層への浸潤などを確認する、治療と診断を兼ねた検査法です。確定診断のために行います。

膀胱がんは状態によって3つに分類される

膀胱がんは、その状態によって以下の3つに分類されます。

筋層非浸潤性がん

膀胱の粘膜から生じたがんが粘膜下層までに留まり、膀胱筋層には浸潤していない状態で、発見された膀胱がんの70~80%は筋層非浸潤性がんに該当するそうです。なお、筋層非浸潤性がんは、さらに表在性がんと上皮内がんに分類されます。

  • 表在性がん(乳頭状がん)
    表面がぶつぶつと隆起し、膀胱の内腔に向かって突出した形状をしており、TURBTでの診断の際に病巣を切除できる可能性があります。
    多くは浸潤せず予後は良好ですが、なかにはハイリスク筋層非浸潤性がんと呼ばれる浸潤性がんに進行する危険性が高いタイプもあるようです。なお、初発の筋層非浸潤性がんが浸潤性がんに進展した割合は、8.3%だったとの研究報告があります。
  • 上皮内がん
    膀胱の内腔に突出することなく、粘膜だけががん化した状態です。筋層非浸潤性がんでも悪性度が高く、予後が悪いとされています。

筋層浸潤性がん

膀胱壁は、膀胱内表面側から粘膜上皮、粘膜下結合組織、筋層、脂肪組織と層になっています。粘膜に生じたがんが、筋層以上に浸潤しているのが筋層浸潤性がんです。発見された膀胱がんの10~20%が該当するといわれています。

筋層浸潤性がんは、膀胱壁を突き抜けてほかの組織へ浸潤したり、リンパ節や骨などに転移したりする危険性があります。

転移性がん

がんが膀胱からほかの臓器に転移している状態です。リンパ節、骨、肺、肝臓などに転移しやすいといわれています。

膀胱がんの病期

膀胱がんの病期は、がんの深達度やリンパ節転移の有無、遠隔転移の有無によって決まります。リンパ節転移、あるいはほかの臓器に転移している場合は、がんの深達度に関わらず病期はIVです。

リンパ節転移やほかの臓器への転移がない場合の病期は、以下のようになります。

  • 0a
    表在性がん(乳頭状がん)
  • 0tis
    上皮内がん
  • I期
    がんの浸潤が粘膜下結合組織まで
  • II期
    がんの浸潤が筋層内にとどまっている
  • III期
    筋層の周囲の脂肪組織にがんが浸潤している

がんが膀胱壁を超えて、隣接の臓器に浸潤している場合の病期は以下のとおりです。

  • III期
    前立腺や精のう、子宮、膣にがんが広がっている
  • IV期
    がんが骨盤壁や腹壁にまで及んでいる

膀胱がんの特徴

ほかの固形がんとは異なる膀胱がんの特徴として、多発しやすいことと再発しやすいことが挙げられます。発見された時点で多発しているケースが、30~40%もあるそうです。再発については、以下で詳しくみていきましょう。

再発しやすい筋層非浸潤性がん

筋層非浸潤性がんは、おとなしく予後のいいがんとされている一方で、再発を繰り返すことが知られています。筋層非浸潤性がんでは膀胱温存治療が行われますが、TURBTで病巣を切除しても40~60%という高い確率で膀胱内に再発するといわれています。なかには、再発を10回以上繰り返している患者さんもいるようです。

また、再発したがんが筋層浸潤がんに進展するケースもあります。そうなると予後は悪くなり、膀胱全摘除術を行っても30~50%の方が亡くなるそうです。

そこで、再発や進展のリスクを低・中・高の3段階で評価したうえで、治療方針が決められています。

また、筋層非浸潤性がんは基本的には膀胱温存治療が採用されますが、再発と進展のリスクが高い場合には、膀胱全摘除術が考慮されます。

膀胱がんの早期発見の決め手は血尿

全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における2006~2008年の診断例によると、膀胱がんの5年相対生存率はI期だと90.6%と高いですが、II期は76.9%、III期は62.0%と病期が進むにつれて低下し、IV期になると16.1%と予後がかなり悪いことがわかります。早期発見が非常に大切です。

幸いなことに、膀胱がんの初期症状には血尿という明らかなシグナルがあります。膀胱がんと診断された患者さんの85~90%は、血尿をきっかけに受診しているそうです。血尿は一過性の場合もありますが、早期治療のためにも速やかに検査を受けてください。

 

参考: