がんの治療・療養中の発熱対策

がんの治療中、特に抗がん剤治療後は骨髄抑制の副作用の影響で感染しやすい状態になり、発熱する場合があります。今回は、がん治療中に発熱した際の対処法や、担当医に連絡すべきケースについてご紹介しましょう。

発熱の原因

発熱の原因のほとんどは、何らかの病原体への感染です。特に抗がん剤治療を受けている場合は感染症にかかりやすく、発熱がみられることが珍しくありません。また、炎症性の疾患や薬剤に対する反応、がんの成長などが発熱を引き起こしている場合もあります。

抗がん剤の副作用による発熱

抗がん剤の副作用には脱毛や嘔吐などさまざまなものがありますが、骨髄抑制もそのひとつです。骨髄抑制が起きると骨髄の血液を作る働きが弱まり、赤血球や血小板、白血球などの数が減少してしまいます。白血球数、特に好中球の数が減少すると免疫力が低下し、細菌やウイルスなどに感染しやすくなるため問題視されています。

正常な場合、1マイクロリットルの血液には2,000~7,500個の好中球が含まれています。これが、骨髄抑制によって血液1マイクロリットルあたりの好中球が500個未満、あるいは1マイクロリットルあたりの好中球が1,000個未満で48時間以内に500個未満まで減少すると予想される状態となり、かつ体温が37.5度(腋窩温)以上の熱がある場合は、「発熱性好中球減少症」といわれます。

多くの抗がん剤は、投与後10~14日目ぐらいに好中球数減少のピークがきますが、薬剤によっては7日目ごろの場合もあるようです。発熱性好中球減少症は重症化すると命に関わるケースもあるので、早期発見・早期治療が重要です。

感染症が起きたときの症状は?

感染症を引き起こすと、38度以上の発熱のほか以下のような症状がみられます。

  • 寒気やふるえ
  • 疲労感
  • 体中の痛み
  • 頭痛
  • 鼻やのどの痛み
  • せきやたん
  • 鼻や耳の痛み、閉塞感
  • 口内炎、虫歯、歯肉痛
  • 腹痛や下痢
  • 血尿、頻尿、排尿時の痛み
  • 陰部のかゆみ、性器からの出血、おりものの増加
  • 肛門痛
  • 皮膚の発疹や発赤
  • 傷やカテーテル挿入部位の痛み、発赤、腫れ

鎮痛剤を服用しているときは発熱以外の症状に気を配ろう

鎮痛剤(痛み止め)には解熱作用があるため、感染症が生じていても発熱がみられないことがあります。抗がん剤治療の影響で、白血球数減少のリスクが高いときに鎮痛剤を服用している場合は、発熱以外の症状にも十分に気をつけてください。

発熱時の治療に使われる薬剤

抗がん剤投与後の発熱の多くは細菌感染によるものと考えられます。治療の際には、症状や好中球減少の程度などから重篤化するリスクを判断したうえで治療が行われます。

重篤化のリスクが低く38度以上の発熱がある場合は、自宅で抗菌剤(シプロフロキサシンやクラビット)や解熱剤(カロナール)を服用します。抗菌剤は定められた期間は服用し続ける必要があるので、医師の指示にきちんと従ってください。

重篤化のリスクが高い場合は、病院での点滴治療となります。

抗菌剤と飲み合わせの悪い薬

抗菌剤は、ほかの薬と同時に服用すると効き目が低下する場合があります。以下のような薬は、抗菌剤の服用後2時間経ってから飲むようにしてください。

  • マグネシウムを含有する下剤
  • アルミニウムなどの軽金属類を含有する胃薬
  • 鉄剤やカルシウム剤など

服用中の薬やサプリメント剤と抗菌剤の飲み合わせについては、担当医や看護師に必ず確認しましょう。

担当医に連絡すべきケースは

以下のようなケースでは、すぐにかかりつけの医療機関に連絡しましょう。

  • 37.5度程度の発熱で、抗菌剤を服用すべきか迷うとき
  • 39度以上の高熱が出たとき
  • 発熱に下痢や嘔吐を伴うとき
  • 食事や水分がとれないとき
  • 抗菌剤を2日間服用しても熱が下がらないとき
  • 一度は解熱したものの、再び高熱が出たとき

自分の平熱を把握しよう

がんの治療・療養中は、自分の体の状態を把握することが重要です。その一環として、毎日同じ時間に体温を測定する習慣をつけましょう。そうすることで自分の平熱がわかり、体温の変動にすぐ気づけるようになります。

抗がん剤治療による骨髄抑制が考えられる場合の発熱には特に注意し、39度以上の高熱が出たり、一度下がった熱が再び高くなったりといった要注意の症状がみられたときは、すぐに受診するようにしてください。

 

参考: