乾燥が気になる季節のドライスキン予防法

がん治療の影響で、肌の乾燥に悩む人は多いと思います。なかには、寒い季節になるにつれて症状が悪化する人がいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、がんの治療・療養中に起こるドライスキンのメカニズムと、自宅でも取り組める予防のポイントをご紹介します。

がんの治療・療養中にドライスキンが起こるメカニズム

ドライスキンとは、何らかの原因によって皮膚の水分量が減少し、皮膚の柔軟性が失われた状態のことを指します。このような状態が続くと肌にひび割れが生じ、外部の刺激を防ぐ皮膚のバリア機能に悪影響が及びかねません。

がんの治療・療養中は、治療による影響からドライスキンが起きやすい状態となります。治療内容別にそのメカニズムをご説明しましょう。

  • 化学療法
    投与された抗がん剤は、病巣だけでなく全身に行きわたります。その影響は正常な皮膚にも表れ、新陳代謝の低下を招くとともに、皮脂を分泌する皮脂腺にもダメージを与えます。すると、皮脂による保湿が不十分になり、皮膚が乾燥しやすい状態となるのです。
  • 放射線療法
    病巣に向けて照射された放射線は、皮膚をはじめ周辺を通り抜けるため、病巣以外の部位も影響を受けます。放射線を受けた皮膚は、日焼けしたときと同じように水分が蒸発して乾燥状態になります。また、放射線によって皮膚の基底細胞の分裂が障害されると、皮膚の表面を覆う角質層が減少します。そうなると皮膚が適度な水分を保持できなくなり、乾燥状態がより悪化してしまいます。

ドライスキンを予防するための生活習慣

ドライスキンの予防は、家庭でも取り組むことができます。ドライスキンの予防につながる食生活や入浴方法、保湿剤の使い方についてご紹介しましょう。

食生活

バランスのとれた食事とこまめな水分補給を心がけましょう。

卵、チーズ、レバーに多く含まれるビタミンAは、皮膚や粘膜を健康な状態に保つはたらきがあります。牛乳、緑黄色野菜、納豆に多く含まれるビタミンB2、にんにく、まぐろ、鶏肉に多く含まれるビタミンB6には肌のターンオーバーを正常に保つはたらきをします。また、大豆製品やナッツ類に豊富に含まれるビタミンEは、新陳代謝の活発化や末梢の血流を改善し、皮膚の潤いやハリを保ちます。これらのビタミン類を意識して普段の食生活に取り入れてみるといいでしょう。

ただし、がんの治療・療養中は、病気自体や治療の影響で食欲が低下したり、味覚が変化したりして、食事の内容が偏ってしまうかもしれません。そのようなときは無理をせず、食べられるものを食べられる量だけとることを優先してください。

入浴方法

寒い季節になると、入浴時に熱めのお湯でしっかり体を温めたいと考えるかもしれません。しかし、温度の高いお湯で入浴すると、皮膚の保護に必要な皮脂が過剰に失われてドライスキンが進んでしまいます。入浴時のお湯は38~40℃程度の少しぬるめに感じる温度に調節しましょう。

皮膚の表面に蓄積した古くなった角質や皮脂、汗がほこりと混ざり合うと垢になります。こうした汚れを取り除き肌を清潔な状態に保つことは、重要なスキンケアのひとつです。体を洗う際は、過度の刺激を避けるためにナイロンタオルなどで肌を強くこすらないようにしましょう。石鹸をしっかりと泡立て、手で優しくなでるように洗ってください。

石けんやシャンプーは、「低刺激」を謳っているものや、肌のpHに近い弱酸性のものを選ぶようにしてください。購入にあたって迷いや疑問がある場合は、皮膚科の近隣にある調剤薬局で相談するのもおすすめです。低刺激性の石けんやシャンプーを取り扱っている場合があり、商品に含まれる成分や作用について話を聞くことができます。

保湿効果のある入浴剤を使う場合は、かぶれのような皮膚の変化が起きていないか気を配ってください。また、硫黄の温泉成分を含む入浴剤は、皮膚のバリア機能にダメージを与えて皮膚の乾燥を強める可能性があります。硫黄成分を含まない入浴剤を選びましょう。

保湿剤の使い方

皮膚が濡れたままだと水分の蒸発量が増えるため、入浴後には保湿剤を塗りましょう。15分以内の肌がやや湿っている状態のときが効果的です。保湿剤は複数箇所に少しずつ点在させるようにつけ、手のひら全体で優しく広範囲にのばします。

ドライスキンを予防して快適に過ごそう

ドライスキンが悪化すると、肌荒れやかゆみによって大変な苦痛が生じる場合があります。そうならないように、日常生活から予防を心がけましょう。そして、症状が改善されない場合は、がまんすることなく医療機関を受診してください。

 

参考:

ドライスキン|佐藤製薬