がん予防につながる運動習慣とは?

一般的に、がん予防には生活習慣の見直しが重要だということが知られています。今回は、そのなかでも運動習慣に注目。がん予防との関連や予防効果が期待できる運動の種類や運動量、運動に取り組む際のポイントと注意点についてご紹介します。

がん予防と運動習慣の関係

国立がん研究センターは、ほかの研究機関、全国11保健所などと共同で、がんや脳卒中をはじめとした日本人の生活習慣病を予防するために、生活習慣と病気の関係について研究を続けています。

その研究のひとつに、身体活動量とがんの発症の関係を調べたものがあります。1995年と1998年にアンケート調査に参加した約8万人(男性37,898人、女性41,873人)を2004年まで追跡調査したところ、その約8年間に4,334人(男性2,704人、女性1,630人)ががんを発症しました。そして、一人ひとりの平均的な身体活動量によって4つにグループ分けしたところ、身体活動量が多いグループほどがんの罹患リスクが低いことが判明したそうです。その傾向は女性でより顕著に見られたほか、高齢であるほど、また余暇の運動頻度が多いほど、リスクが低下していたとのことです。

運動習慣ががんの罹患率を低下させるメカニズムは、完全に解明されているわけではありません。しかし、運動習慣による肥満の改善、性ホルモンや免疫調節能の改善、フリーラジカル産生の抑制などが関連していると考えられています。例えば、運動量が増加するとインスリン抵抗性が改善されるといわれます。また、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、好中球、サイトカインの調節などの免疫調節能の改善も、がんの予防につながっていると推察されています。ほかにも、腸管運動が促進されることで食べ物が腸管を通過する時間が短縮し、胆汁の性状や分泌に好影響を与えると考えられています。

がん予防につながる運動の種類や運動量

がんの予防につながる運動習慣とは、具体的にはどのような運動なのでしょうか。十分な効果が期待できる運動量や日数、取り組む際のポイントについてご説明します。

1日の運動時間は、60分が目標とされます。歩行やそれと同等以上の強度の運動を選びましょう。翌日に疲れが残らない程度の運動強度が目安です。また、週に一度は息がはずんで汗が出る程度の運動を、60分程度行うようにします。

激しい運動は活性酸素やフリーラジカルを増加させ、タンパク質、脂質、DNAの損傷につながると指摘されています。しかし、中等度の運動であれば抗酸化物質の損失を抑制する効果があるといわれています。つまり、運動は強度によってプラスにもマイナスにもなり得るのです。中等度の運動の目安は、きついと感じずに1分間の心拍数が100~120回以内になる程度です。50歳以上の場合は1分間の心拍数は100回以内が目安となります。

なお、運動は日々継続することが大切です。しかし、体調が優れないときに無理をするのはやめましょう。また、がんの治療・療養中に運動に取り組みたい場合はまず主治医に相談し、指示に従うようにしてください。

運動を習慣にする工夫

「運動の習慣をつける」と聞くと、新しいことを始めなければいけないような気がして身構えてしまうかもしれません。そこで、まずは日常生活での活動量を増やすことを意識してみましょう。エスカレーターではなく階段を使う、少し遠い店まで歩いて買い物に行く、家事をこまめにするというところから始めてみてください。

また、以前からの習慣に運動を加える方法もあります。例えば、いつも聴いているラジオ番組をウォーキングしながら楽しむようにしてみてはいかがでしょうか。万歩計や運動量をチェックできるスマートフォンのアプリを活用したり、スポーツ関連のサークルに参加したりすることも、運動習慣の継続に効果的です。

自分のペースで運動の習慣を始めてみよう

適度な運動の習慣を持つことは、がんだけでなく脳卒中や糖尿病などの予防にもつながります。また、ストレスの発散やリフレッシュの効果も期待できます。できることから自分のペースで始めてみましょう。

 

参考: