乳がん 患者のニーズに応える切除後の動き…

乳がんのため切除手術を受けた後の患者さんは、身体的にも精神的にも多くのサポートやサービスを必要としています。近年、そのニーズに応ずるさまざまな取り組みが見られるようになりました。どのような動きがあるか、チェックしてみましょう。

乳房の形を作る「再建手術」

患者さんは、切除手術後に、乳房を元のような形にしたいという希望を持ちます。それに応える選択肢の1つとして挙げられるのが「乳房再建手術」。乳房が切除された部分に、外科的な手術によって乳房の形を作り出す方法です。主に、次のような手術法や再建のタイミングがあります。

乳房再建術の方法

• 人工のシリコン入りバッグを用いる方法
• 自分の体の一部(背中か腹部)の皮膚などを用いる方法
• 両方を併用(シリコン入りバッグを自分の体の皮膚などで包む)

再建の時期

• 乳房の切除手術と同時に行う一期的(いっきてき)再建術
• 切除手術後一定期間(通常2~3年)を置いてから行う二期的再建術

一期的再建は、手術を一度に受けられるというメリットがありますが、美容的には、二期的再建の方が勝るとされています。また、病気の状態によっては再建手術を行わない方がいい場合もあり、その点については主治医とよく相談する必要があります。

乳房の再建前や再建しない場合にも補整を行える方法

再建手術を行うものの、切除手術後2~3年たってから…という場合、もしくは再建手術を受けないと決めた場合には、乳房の形の補正が気になるものです。そのようなケースに利用できる、さまざまな製品が開発されています。

• 補整具
人工乳房やパッドなど、胸の形を補整できるさまざまな製品があります。
人工乳房は、シリコンなどで、人工的に乳房の形を再現したもの。オーダーメイドの場合、自分の乳房の形状と同じような形にできるというメリットがあります。粘着剤で装着するタイプには、入浴・シャワー・水泳が可能なものも。また、粘着せずにブラジャーに入れて使用する人工乳房もあります。
パッドには、シリコン製、ウレタン製などがあり、形やサイズも豊富になってきました。

• 専用下着
特性パッド付きのブラジャーなどの製品が出ています。就寝時、切除側のみに使用できるタイプや、ノンワイヤーで肌に優しいタイプなど、多種多様です。

• 水着
襟や袖ぐりが浅く、手術跡をカバーできるタイプの水着も市販されています。手術後も水泳を楽しみたいというときに、活躍してくれます。

これらの他にも、患者さんのニーズに合わせて多くの製品が開発され、選択肢の幅が広がってきています。

心のサポートを行う専門医によるアドバイスも利用

乳がんの手術の後には、メンタルな面での患者さんのサポートも必要となります。現在、がんに罹られた方の心のケアを行う、「精神腫瘍科医(サイコオンコロジー科医)」という専門のドクターが、精神面でのアドバイスをWEB上などで公開しています。患者さんのみならず、患者さんのご家族もそのような情報を利用されるとよいのではないでしょうか。

また、切除手術後のリハビリテーションについても、現在さまざまな体操が用意されています。主治医と相談しながら、効果的な方法を取り入れるとよいでしょう。

今、乳がん患者さんの身体面・精神面両方での回復を願う多くのサポート体制が整えられようとしています。これからも、更にそのようなサービスが充実してくるでしょう。今後の動向にも注目していきたいですね。

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