胃がんのリスクを下げる生活を考える

胃がんは日本人に多く、がんによる死亡者数で第2位となっています。その一方で、特定の原因がわかっているほか、食生活との関係についても情報が多く、予防しやすいがんだといわれています。そこで今回は、胃がんのリスクを下げるための生活の工夫を考えてみましょう。

胃がんのリスク要因

胃がんは初期症状が出にくく、早期発見がしにくいがんだといわれています。しかし、塩分摂取の多い食習慣や喫煙、ヘリコバクター・ピロリ(以降ピロリ菌)への感染がリスク要因であると特定されています。

ピロリ菌の感染による胃がんリスク

胃がんを発症した人のほとんどが、ピロリ菌に感染していることが確認されています。

ピロリ菌は、1982年に発見された胃の粘膜に住みつく細菌です。4ミクロン(4/1000ミリ)ほどの大きさで、べん毛と呼ばれる毛を回転させて動き回ります。

ピロリ菌に感染すると、ピロリ感染胃炎を発症します。これは慢性的な炎症で、特別な症状が現れないこともあります。しかし、日本人がピロリ感染胃炎になると、8割以上が胃酸の分泌が減る萎縮性胃炎に進行します。さらに、このうちの1%未満が分化型胃がんを発症する可能性があるのです。また、ピロリ菌感染胃炎から直接スキルス胃がんに進行するケースもあります。

ピロリ菌対策で胃がんリスクを軽減

ピロリ菌対策としては、まず感染の有無を調べましょう。それには、以下のような方法があります。

  • 内視鏡で胃の中の状態を観察するとともに、胃の組織を採取して調べる。
  • 血液や尿を採取して、ピロリ菌に対する抗体の有無を調べる。
  • 検査用の薬を飲んだあとに、呼気を調べる。
  • 便を採取して、ピロリ菌抗原の有無を調べる。

どの方法を用いるかについては、検査を受ける医療機関で相談してください。

検査の結果、ピロリ菌に感染していることがわかったら、薬を服用して除菌します。その後、あらためてピロリ菌の有無を検査します。

喫煙による胃がんリスク

喫煙をすると、ニコチンが唾液に移ります。そして、それが胃に入ると胃粘膜に悪影響を及ぼし、胃がんのリスクを高めると考えられています。

また、喫煙は胃がんのみならず、多くのがんの原因となります。喫煙者のがんになるリスクは、非喫煙者の1.5倍にもなるそうです。さらに、タバコの煙は喫煙者本人だけでなく、周りの人の健康にも害を与えていることを認識しなければなりません。

喫煙者は禁煙に取り組み、非喫煙者は他人のタバコの煙をできるだけ避けるようにしてください。

食習慣による胃がんリスク

胃がんのリスクを高める食習慣として、塩分が多い食事が挙げられます。塩分の摂取量が多いと胃の粘膜が刺激され、炎症を起こしやすくなったり、ピロリ菌が増殖しやすい環境をつくったりするといわれているのです。

厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は、男性が9グラム未満、女性が7.5グラム未満で、高血圧の人は6グラム未満とされています。しかし、和食は味付けに塩分を使うことが多いので、注意が必要です。

減塩による味の物足りなさは酸味と辛味でカバー

塩分摂取による胃がんのリスクを軽減するには、減塩が必要です。しかし、調理で塩分を減らすと味が薄くなり、物足りなく感じるかもしれません。そこで、塩分の代わりに活用したいのが酸味や辛味です。ゆずやレモンといった柑橘類の絞り汁、酢、カレー粉、からし、七味唐辛子などを使い、減塩による味の薄さをカバーするといいでしょう。

毎日の積み重ねで胃がんのリスクを軽減

胃がんのリスクは、日常の心がけによって軽減できるものがあります。まずはピロリ菌感染の有無を確認し、対処をしたうえで、毎日の食生活を工夫しましょう。

国立がん研究センターの研究結果によると、野菜や果物を積極的に食べる人は、食べない人に比べて胃がんの発生率が低いことがわかっています。つまり、塩分を控えて野菜や果物を取り入れた食生活を送り、定期的に健康診断を受けることで、胃がんのリスクを軽減できるというわけです。

特に、食生活は毎日の積み重ねです。さまざまな食材を楽しむ気持ちで、野菜や果物をおいしく食べる工夫をしてはいかがでしょうか。

 

参考: