胃がんの治療中に食事をおいしく楽しむための工夫

胃がんを患い治療を受けると、以前と同じように食事をとれなくなってつらいという話を聞きます。また、好物だったものが食べられなくなったり、量が食べられなくなったりして、食事が楽しめないという話も耳にします。今回は、胃がんになっても食事を楽しむための工夫を考えてみましょう。

胃がん手術に起因する食欲の低下

胃がんの治療では、多くのケースで手術が選択され、胃の一部あるいはすべてを摘出することで病巣を取り除きます。病巣が小さくて周辺への広がりも少なく取り除きやすい状態であれば、胃の機能の多くを残すことが可能です。しかし、広範囲を摘出する場合には、胃の機能の一部、あるいは多くが影響を受けることになります。

影響を受ける胃の機能のひとつが、消化に関するものです。胃を切除すると胃液の分泌が減少するため、食べたものを消化して小腸へ送るという働きが制限されてしまいます。

また、胃には食べたものをすぐに腸へ送らずに溜めておく役割もありますが、手術によって胃の容積が小さくなるとその機能が低下してしまいます。そうなると、主に炭水化物が一気に腸へ流れ込むことで、食後に冷えや汗やめまい、動悸、低血糖状態を引き起こすダンピング症候群を発症しやすくなります。

さらに、胃からはグレリンという食欲中枢を刺激するホルモンが分泌されています。ところが、胃を切除するとグレリンの分泌量が減少し、食欲低下を招きやすくなるのです。

胃がん手術による味覚障害の原因とは

手術で胃を切除すると、食事の摂取量が減ってしまう場合があります。そうなると亜鉛や鉄分が不足しがちになり、味覚障害の原因となるのです。味覚障害を発症するとますます食事をとりにくくなり、体重減少や体力低下を招きかねません。亜鉛欠乏症や鉄分欠乏症は血液検査で診断できるので、気になる場合は担当医に相談するといいでしょう。

胃がん手術後の食事の注意点

基本的に、胃がん手術後に食べてはいけない食材はありません。しかし、手術後しばらくは胃の機能が低下しているので、手術前と同じような食事を同じように食べられるわけではありません。十分に回復するまでは、胃に負担をかけないメニューを選ぶことが大切です。

まず、固い食べ物は避けて、おかゆのような柔らかく消化のいいメニューを選んでください。塩分はできるだけ使わないようにします。

また、胃がん手術後は胃液の分泌が減少するので、よく噛んでゆっくりと食べるようにしてください。唾液と十分に混ぜることで、胃の負担を軽減できます。また、一度に食べられる量が減るので、少量ずつ何回かに分けて食べるのもおすすめです。

食欲がないことがあるかもしれませんが、体力維持のために少しずつでも食べるよう心がけてください。おやつにゼリーやプリンのような、カロリーが高くて食べやすいものを口にするといいでしょう。

胃に負担をかけない調理の工夫

胃がんの手術を受けたあとの食事は、胃に負担をかけないために調理の工夫が必要です。以下でその例をご紹介します。

カロリーと良質のタンパク質が摂取ができる卵

卵は高カロリーで、タンパク質や脂質が豊富に含まれています。茶碗蒸しやスクランブルエッグにすると、食べやすく消化もいいのでおすすめです。また、プリンはいいカロリー源になります。ただし、ゆでた卵のように固いものは避けてください。

柔らかく調理したい牛肉

牛肉は、脂質やタンパク質を含みます。野菜と一緒に柔らかくなるまで煮込んでスープにすると、多くの栄養素をとることができるでしょう。ロールキャベツや肉団子といった、ミンチ料理にする方法もあります。ステーキのように焼いた場合は固く消化しにくいため、胃の機能の回復状況を考慮しなければなりません。

ビタミン類の摂取に欠かせない野菜

ビタミン類や繊維質など栄養素としてはとりたいものが多く含まれますが、食物繊維は消化しにくいので調理法に工夫が必要です。そこで、繊維をできるだけ細かくカットし、味噌汁に入れたり煮込んだりして柔らかくするといいでしょう。大根、人参、ジャガイモなどの根菜類は、柔らかくなるまで煮たり、蒸したり、茹でたりします。葉野菜は、茹でただけ、炒めただけでは独特な苦味を感じ、食べにくい場合があります。マヨネーズで味付けをするとカロリーアップにもなり、おいしくいただけます。

タンパク質やカルシウムが豊富な魚

魚はタンパク質やカルシウムを豊富に含みます。白身魚を煮たり蒸したりするといいでしょう。刺身は繊維質で消化しにくいので、避けたほうが無難です。

体力維持のためにもおいしく食べる工夫をしよう

胃がん治療中に多くの人が、以前のように食べられなくなったという悩みを持っています。手術後は胃の機能が低下しているため、手術前と同じような食事のとり方ではおいしいと感じられないことが多いようです。

そこで工夫したいのが、調理法と食べ方です。まずは、食材を小さくすることから始めましょう。見た目に彩りを添えるのも、食欲をそそる工夫といえます。また、おやつの活用も簡単に始めることができます。

食べることが楽しくなれば、食も進み体力維持につながります。できることからやってみてください。

 

参考: