患者さんの負担を軽減するロボット手術

がんの治療法のひとつである外科手術は、傷口の回復に時間がかかり体力の消耗が激しいのが難点です。患者さんにかかる負担が大きいことから、病状によっては手術を治療の選択肢に入れられないケースもあります。そのような背景から注目されているのが、ロボット手術です。ロボット手術は腹腔鏡手術のように体に小さな穴をあけるだけで済むため、患者さんに負担をかけずに手術をすることができます。

ロボット手術とは

ロボット手術では、医師は手術台から離れたところにあるコンソールから、モニターの映像を見ながら機械を遠隔操作します。従来の手術では患部をメスで切り開かなければなりませんでしたが、ロボット手術では患部近くに小さな穴を数カ所あけるだけでよく、そこから挿入したカメラの画像をモニターで見ながら、別の穴からアームを挿入して手術を行います。アームの先端には、鉗子(かんし)と呼ばれる電気メスやハサミなどを備えた特殊な器具が取り付けられています。

2012年には前立腺がん全摘術において保険適用となり、以来、泌尿器科のがん治療への利用件数が増加しています。また、消化器外科、産婦人科、呼吸器外科、心臓外科、頭頸部外科でも、ロボット手術が用いられているそうです。

ロボット手術のメリットとデメリット

ロボット手術は患部を大きく切り開く必要がないため、手術後の痛みが少なく、傷口も早く治ります。出血も極めて少なく、患者さんの体の負担が少ないといえるでしょう。そのため、開腹手術と比べて入院日数が少なく、前立腺がんのケースでは開腹手術が平均2週間程度なのに対し、ロボット手術では7日程度とされています。

腹腔鏡より精密な手術が可能

鏡視下手術では鉗子の操作に制限があり、モニター画像の遠近感がわかりにくいために細かな作業がしづらいという難点がありました。その弱点を補うために開発されたロボット手術では、鉗子の自由度とともに操作性も向上し、高解像度の3D映像を通じて精密で繊細な手術が可能になっています。

従来の前立腺がん手術では、周囲の勃起神経を傷つけることなくがん組織だけを切除するのはかなり難しいことでしたが、ロボット手術では勃起神経を温存しやすくなっています。

ロボット手術のデメリット

手術をする医師にとって、触診は重要な情報源となります。しかし、遠隔操作をするロボット手術では触覚がありません。そのため、操作の加減に難しさを感じる医師が多いようです。

患者さんにとっては、ロボット手術が使えないケースがいくつかあります。

例えば、前立腺がんの手術では、脳、目、心臓に疾患を抱える人はロボット手術の適応外となります。その理由としては、術中に手術台を傾けて頭を長時間低くする必要があるため、悪影響が懸念されるとのことです。さらに、下腹部の開腹手術を受けたことのある人や、肥満度の高い患者さんも適応外になる場合があります。

また、金銭的な負担が通常の外科手術より高額になる傾向にあるので、事前に医療施設に確認してください。

日本での広がりに期待

日本でもロボット手術の導入が進んでいますが、担当する医師が操作を習熟している必要もあり、対応する医療施設は限られているのが現状です。ロボット手術を希望する場合は、導入している施設を紹介してもらえるように、早い段階で担当医に相談しましょう。

 

参考: