中国でがん患者が急増しているわけ

ここ数十年で世界中の生産工場が立ち並ぶ工業都市として発展した中国。広東省の中の大都市、中山市のガン研究所が明らかにした情報によると、2012年中国では、1分に6人ががん患者であると宣告を受けているとのことでした。これは、1日に8500人超のがん患者が発生しているということです。そのうち、7,8人中1人は死にいたっています。なぜ中国でこのようにがん患者が急増しているのでしょうか。

「がんの村」が生まれた背景

中国には、「がんの村」が存在するのをご存知でしょうか。中国の2大河川、北の黄河と南の長江の中間に位置をする、准河という中国で3番目に大きな河川沿いには、がんの村と呼ばれる村が存在します。ここの住民の発がん率は群を抜いて高いのです。

1990年代から、この准河流域に多数の化学工場や繊維工場が立ち並び、経済的に発展するようになりました。しかし、工場からの排水、煙などにより、周囲の環境が破壊されはじめました。工場からの排水を調べたところ、何種類もの毒性のある物質が見つかったそうです。これらの排水は、水質のみならず土壌をも、もはや生活ができるレベルではないところまで汚染してしまいました。

准河流域の住民は、地下水を生活用に使用しています。その地下水にまで工場の残留毒性物質が混じった排水が流れ込むようになり、住民のがんを引き起こしたと考えられています。その証拠に、汚染の激しい地域と、がんで死亡する住民が多い地域が一致しています。がんの家系でなくとも、その地域に住んでいることによりがんに侵されている住民も多数いるのです。

深刻な公衆衛生上の問題

中国では、急速な工業発展に伴い、大気汚染、水質汚染、土壌汚染など深刻な環境汚染問題に直面するようになりました。しかし、汚染を浄化するシステムの整備が追いついていない状況です。

化学工場からの工場排水には、水俣病などを引き起こしたことでも知られる、カドミウムやヒ素、水銀なども含まれていたことが分かっています。政府による工場の排水を浄化して河川に流すシステムなどの規制もなく、どこの工場が排水をしたのかも分からないような現状です。

土壌汚染にしても、環境問題に対して知識が乏しく、化学工場などが汚染状況不明のまま移転をした跡地に住宅地などを立てています。農薬など劇薬を生産していた工場が穴をほって廃棄処理をしていただけのところなどもあり、工場跡に立てられた住宅での生活用水への影響が心配されます。

問題解決には多方面のアプローチがカギ

中国では現在、1970年代と比較して、1日当たりに、がん宣告を受ける人の数が8倍にも上ると言われています。これは、深刻な環境汚染と密接に関係しているといえます。未だに、具体的な解決は見いだせない状況にあり、事態は深刻になっています。

国の対策とともに、環境に問題に対しての教育など、さまざまな方向からのアプローチが、環境問題とがんとの関係を解決するためには、必要になるのではないでしょうか?

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