AI(人工知能)が大腸内視鏡検査の見落としを防ぐ!

がんの部位別統計によると、2015年の大腸がんの死亡数は男性が3位、女性が1位です。さらに、2012年の大腸がんの罹患率は、男女ともに2位と非常に高くなっています。このような状況を改善するには、大腸がんの前段階といわれるポリープを早期発見し、取り除くことが重要です。しかし、従来の大腸がん検診は医師の目視に頼らざるを得なかったため、病変が小さかったり認識しにくい形だったりすると少なからず見逃しが生じていました。

そこで、病変をリアルタイムに自動検知し、医師の病変発見をサポートするために新たに開発されたのが、AIを活用した「リアルタイム内視鏡診断サポートシステム」です。

大腸がんの罹患抑制にはポリープの早期発見と切除が有効

日本国内では、2015年に大腸がんによって男性26,818人、女性22,881人の死亡が報告されているほか、2012年には男性77,365人、女性57,210人が新たに大腸がんに罹患したと報告されています。また、50歳代から増加しはじめ、高齢になるほど罹患率が高くなるようです。

早期の大腸がんは、自覚症状がほとんどありません。進行するにつれて便秘や下血、血便、下痢、細い便が出る、腹痛、貧血、しこりなどの症状が出現するといわれています。

大腸がんは、前がん病変であるポリープから発生することが明らかになっているため、がん検診などでポリープが発見された場合は積極的に切除しています。1993年および2012に報告された米国での研究によると、大腸腺腫性ポリープを内視鏡を用いて取り除くことで、大腸がんの罹患率が76~90%、死亡率が53%抑制されたそうです。

最先端のAI技術により98%の病変を発見

前述したように、大腸がんの発症を防ぐには前がん病変であるポリープの発見と切除が重要なポイントとなります。しかし、従来の内視鏡検査では24%ほどの病変が見逃されているそうです。その理由としては、検査を実施する医師の技術に差があることや、目視では病変を発見しづらいケースがあることが挙げられます。そこで、医師の技術に関わらず見逃しを防ぎ、確実に病変を発見できるように、AIを活用したリアルタイム内視鏡診断サポートシステムが開発されました。

このシステムは、最先端のAI技術によって約5,000例の大腸がん、およびポリープの内視鏡画像を学習しています。そして、新たな内視鏡画像を本システムで解析したところ、98%の確率でポリープと早期の大腸がんを発見できたそうです。さらに、処理時間を高速化したことで、動画の解析結果をリアルタイムで医師にフィードバックすることができます。

今後は肉眼では認識が困難な病変をAIに学習させて、システムの精度を高めます。その後臨床試験を経て、全世界での実用化を目指すとのことです。

大腸内視鏡検査の質の向上に期待

今回開発されたシステムの最大の特徴は、従来の大腸がん検診と同様に内視鏡を用いる方法でありながら、リアルタイムでポリープや早期がんを高精度で判定できる点にあります。おそらく、検査を受ける患者さんの負担が大きくなることはないでしょう。また、内視鏡医の負担を軽減しつつ、検査の質の向上が見込めることにも期待がかかります。

 

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