菜食中心にするだけでは不十分?がん予防と栄養バランスの関係

生活習慣病ともいわれるがんは、食事の内容を意識するだけで予防効果が期待できます。しかし、「野菜中心の食事を心がければがんになりにくい」、「動物性タンパク質が免疫力を高めるので肉類も積極的にとるべきだ」など、がんのリスクを下げる食事にはさまざまな見解があります。そこで今回は、それぞれの論拠となっている部分に注目しつつ、どのような食事が理想なのか考えてみましょう。

「野菜はがんの発症リスクを下げる」という見解の拠りどころ

国立がん研究センターがまとめた「がんを防ぐための新12か条」に、「野菜や果物は不足にならないように」という項目があります。ビタミンや食物繊維を多く含む、緑黄色野菜の摂取がすすめられているのです。

ビタミンの抗酸化作用に期待

ビタミンは体を作ったり、エネルギー源となったりする栄養素ではありません。しかし、ビタミンはほかの栄養素の働きをサポートする役割を担っています。体内ではほとんど作ることができないため、食事によって摂取しなければなりません。

ビタミンには、水に溶ける水溶性と油脂に溶ける脂溶性があります。水溶性ビタミンは摂取しても尿などで排出されやすいので、少量ずつをこまめにとる必要があります。一方、脂溶性ビタミンは体内に蓄積されやすく、油と一緒に摂取すると効率よく吸収されます。

ビタミンのがん予防効果は、抗酸化作用によるものだといわれています。なかでもビタミンA、B2、B12、C、D、E、葉酸が注目されています。

  • ビタミンを多く含む食品
    ビタミンA:緑黄色野菜、レバー、チーズ、卵など
    ビタミンB2:緑黄色野菜、レバー、乳製品、卵など
    ビタミンB12:レバー、肉類、魚介類、乳製品、卵など
    ビタミンC:緑葉野菜、柑橘類、イモ類など
    ビタミンD:きのこ類、魚介類、卵類など
    ビタミンE:ナッツ類、小麦胚芽など

腸内環境を整える食物繊維

食物繊維は、消化酵素によって消化することができない成分の総称です。血中コレステロールの抑制、腸内環境の整備、排便の促進などの働きをするほか、大腸がんの予防効果が期待されています。

  • 食物繊維を多く含む食品
    穀類、野菜、果物、イモ類、海藻、甲殻類など

「免疫力を高める食事ががんのリスクを下げる」という見解の拠りどころ

がん発症の抑制や、がん治療の効果向上に深く関わっているのが免疫力です。免疫力を発揮する免疫細胞はアミノ酸で構成されているため、アミノ酸をきちんと摂取することが免疫力の維持・向上につながります。

また、体温を高めたり、腸内環境を整えたりするような食事も、免疫力のアップに有効だといわれています。

アミノ酸の摂取は免疫力維持に不可欠

人間の体の血管や内蔵、皮膚、筋肉などは、タンパク質でできています。そして、タンパク質を構成している成分が、20種類のアミノ酸なのです。そのうち9種類は体内で合成することができない「必須アミノ酸」で、食事によって摂取しなければなりません。ほかの11種類は「非必須アミノ酸」といわれ、体内で合成することができます。どちらも健康な体を維持し、免疫力を高めるために欠かせません。

  • アミノ酸を多く含む食品
    豚肉(ロース)、あじ、かつお、鶏卵、牛乳、チーズ、大豆、ベーコンなど

体を温める食事で免疫を活性化

免疫細胞である白血球は血液の流れで体を巡ります。そのため、体を温めて血液の循環を促すことで、免疫が活性化すると考えられています。それには、体を温める性質のある食べ物を意識して食べることが重要です。

  • 体を温める性質のある食品
    羊肉、鶏肉、鹿肉、さば、あじ、いわし、かつお、卵、ゴマ油、生姜、唐辛子、ニンニク、ニラ、大根、長ネギ、玉ネギ、日本酒、紅茶、ココアなど

反対に、体を冷やす性質のある食べ物には以下のようなものがあります。

  • そば、小麦、バナナ、梨、柿、カニ、牡蠣、しじみ、こんにゃく、豆腐、バター、牛乳、緑茶、コーヒーなど

体を冷やす性質のある食べものは加熱調理をしたり、体を温める性質のある食材と一緒に食べたりするといいでしょう。

腸内環境を整えて免疫力をアップ

腸には免疫細胞の70%が存在するといわれています。腸内環境の整備は、免疫力の向上に有効です。

  • 腸内環境を整える食品
    ヨーグルト、チーズ、乳酸菌飲料、キムチ、納豆など

バランスの取れた食事ががんに立ち向かう体をつくる

人の体はさまざまな栄養素を取りこみ、生命活動を維持しています。栄養素には「エネルギーになる」「体をつくる」「体の調子を整える」といった3つの働きがあります。

  • エネルギーになる栄養素
    主に糖質(炭水化物)や脂質です。たとえ安静にしていても、臓器を動かすためのエネルギーが必要になります。エネルギーは、生命の維持に欠かすことができません。
  • 体をつくる栄養素
    筋肉や爪などをつくるタンパク質、骨や歯をつくるミネラル、細胞膜などをつくる脂質です。
  • 体の調子を整える栄養素
    ビタミンとミネラルです。体温の調節をしたり、神経の働きに関わったりと、体の状態を一定に保つ働きをします。

これらの栄養素をまんべんなく補給するには、特定の食べものに偏った食事をしていては難しいといえるでしょう。毎回の食事では、さまざまな食材をバランスよく食べることが大切です。

                                                   

参考: