がん治療の副作用を軽減できる?補完代替医療について

現代西洋医学領域で科学的未検証、臨床未応用の医学・医療体系を補完代替医療といいます。整体やサプリメントなどさまざまな種類がありますが、抗がん剤の副作用を軽減できるものはあるのでしょうか。今回は鍼灸治療とマッサージをピックアップし、がんの補完代替医療としての効果を期待できるかどうか探ってみます。

補完代替医療への考え方

補完医療は現代西洋医学を補う医療のことを、代替医療は現代西洋医学に代わる医療のことを指します。しかし、この2つを分けることが困難なことが多いため、両者をまとめて補完代替医療といいます。なお、日本補完代替医療学会による定義では、補完代替医療は「現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称」とされています。

ただし、補完代替医療は患者さんが自らの責任において行うものです。希望する療法のメリットやデメリットを事前に把握し、十分に検討しなければなりません。

吐き気や嘔吐の緩和が期待できる鍼灸治療

鍼灸は、人体にある経穴(けいけつ)と呼ばれるツボを細い鍼やもぐさの燃焼熱で刺激する治療法です。経穴は神経線維や血管が集まるところ、関節や骨のくぼんでいるところ、筋肉の間などにあり、世界保健機関(WHO)ではその数を361と定めています。

鍼灸については世界各国で多数の臨床試験が行われています。そして、抗がん剤治療の副作用である吐き気や嘔吐、神経症状を軽減する効果があったとの報告がなされています。さらに、吐き気や嘔吐の軽減に関しては、手術後の症状にも効果があったそうです。

なお、抗がん剤治療による吐き気や嘔吐の軽減効果は、早期の症状には効果が見られた一方で、遅延性の症状には効果がなかったとされています。鍼灸治療によって確実に吐き気や嘔吐が軽減されるわけではないことを頭に入れておきましょう。

また、鍼灸治療、特に鍼治療は、まれに出血や内出血を伴うことがあります。健康な人であればほとんど問題のないレベルですが、抗がん剤治療で血小板(止血の働きをする細胞)が減少しているときや、がんが進んで出血しやすい状態のときは、鍼灸治療を避けたほうがいいかもしれません。

疼痛の緩和効果が期待されるマッサージ

今回、ピックアップするマッサージは、リンパ浮腫に対する医療リンパドレナージとは異なります。

マッサージには疼痛緩和やリラクゼーション誘導の効果があり、がんの緩和ケアに有効だと考えられています。ただし、がん病巣近辺のマッサージは避けるべきです。副作用はあまりないとされますが、場合によっては揉み返しなどが現れることがあります。

アロマオイル(精油)を併用すると、マッサージの効果がより高まるといわれます。しかし、オイルによるアレルギー反応には注意が必要です。柑橘系のオイルを使った場合は、12時間程度紫外線を浴びすぎないでください。

足のマッサージは、がん患者さんの自覚症状のうち吐き気や疼痛の軽減に効果があったとの報告があり、補完代替療法の有識者が「行うよう勧められる」としています。しかし、マッサージに抗がん剤の副作用を軽減する効果があるかどうかについては、臨床試験の報告がないようです。

補完代替医療はがん治療の脇役だと認識しよう

補完代替医療には、鍼灸治療やマッサージ以外にもさまざまな療法があります。安易に取り入れると治療に影響する可能性があるので、事前に必ず担当医に相談しましょう。がん治療の主役は手術や放射線、抗がん剤です。補完代替療は、これらを補う脇役だと認識してください。

 

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