乳がん治療後のダイエットのコツ

乳がんの治療、特にホルモン療法を受けたことで、顕著な体重増加を経験する人が少なくありません。肥満はがんの再発リスクを高めるといわれるため、患者さんにとって体重のコントロールは非常に重要です。そこで今回は、治療後のダイエットのコツをご紹介します。

ダイエットの重要なポイントは?

ダイエットで最も大切なことは、体重を減らそうという強い意思です。それは、何も食べずにがまんするという意味ではありません。必要なのは、栄養バランスのとれた食事と適度なエクササイズを継続することです。

また、上手にダイエットをするには、現実的な目標をたてるといいでしょう。1週間に0.5~1kgくらいの体重減少を目指すのがおすすめです。

それでは、具体的なダイエットのポイントを以下で確認してみましょう。

食習慣を振り返る

ホルモン療法が原因の体重増加なら、治療が終了すれば体重はいずれ元に戻るでしょう。しかし、薬剤による食欲増進で身についた食習慣を改めないと、体重の増加を抑えることが難しくなります。そこで、普段の食事の内容を振り返り、間食や飲みものなどを含めた1日の摂取カロリー量をチェックしてみてください。

なお、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」には、女性の1日の推定エネルギー必要量は以下のように記載されています。

  • 18~29歳
    身体活動レベル低:1,650kcal
    身体活動レベルふつう: 1,950kcal
    身体活動レベル高:2,200kcal
  • 30~49歳
    身体活動レベル低:1,750kcal
    身体活動レベルふつう: 2,000kcal
    身体活動レベル高:2,300kcal
  • 50~69歳
    身体活動レベル低:1,650kcal
    身体活動レベルふつう:1,900kcal
    身体活動レベル高:2,200kcal
  • 70歳以上
    身体活動レベル低:1500kcal
    身体活動レベルふつう:1,750kcal
    身体活動レベル高:2,000kcal

適度なエクササイズをする

乳がん治療後のダイエットにおいて、適度なエクササイズを日常生活に取り入れてエネルギー消費量を高めることが重要です。

2005年にアメリカで、乳がんと診断されたあとに身体活動を高めると、乳がんの死亡リスクが下がるという研究報告がされています。それによると、週に3~5時間程度のウォーキングが最も効果的だったそうです。

ただし、体調を考慮せずに過度のエクササイズをしてはいけません。体を動かすことに不安がある場合は、担当医に相談しましょう。

家族や友人のサポートを受ける

ダイエットは短期集中ではなく、少しずつ時間をかけてするものです。家族や友人といった身近な人の理解と協力があれば、ダイエットを続けやすくなり成功の可能性が高まるでしょう。

食事のポイント

ダイエットにおいて、食事の工夫は大きなウエイトを占めます。以下のような心がけをしましょう。

  • 食べる量を徐々に減らす
    大量に食べる習慣がついている人は、意識的に器のサイズは小さめ、盛り付けはひかえめにします。そして、徐々に食事の量を減らしていきましょう。
  • 「ファイブ・ア・デイ」を意識する
    「ファイブ・ア・デイ」は、「1日に5皿分(350g)以上の野菜と200gの果物を食べましょう」というスローガンを掲げた健康増進運動です。1皿分の野菜は中くらいのトマト約1/2個、200gの果物は中くらいのりんご約1/2個が目安となります。
  • 清涼飲料水やお菓子を控えめにする
    糖分の多い清涼飲料水の代わりに水やお茶を飲むようにし、ケーキやチョコレート、クッキーなどはたまに食べる程度に控えましょう。
  • 乳製品は低脂肪のものにする
    脂肪の多い食事と乳がんの再発リスクの関連性は、認められていません。また、乳製品の摂取と乳がんの再発リスクについても同様ですが、まだ十分な数の研究がなされておらず、一定の結論を導き出すには至っていないそうです。しかし、脂肪を多くとると肥満につながります。摂取カロリーを抑えるために、牛乳やヨーグルトなどは低脂肪のものを選ぶといいでしょう。
  • パンやパスタを全粒粉にする
    入手可能であれば、パンやパスタ、シリアルなどを全粒粉のものにするといいでしょう。全粒粉は食物繊維、ビタミンやミネラルが豊富なことが知られています。また、食べても血糖値が上がりにくいという特長があるそうです。血糖値の上がりやすさを示すGI値(グリセミック・インデックス)を比較すると、通常の食パンが91なのに対して全粒粉パンは50とかなり低い数値になっており、肥満防止が期待できます。
  • 大豆をはじめとした豆類を取り入れる
    低カロリーで高たんぱく質な豆類を、日常の食事に取り入れましょう。特に大豆は、大豆イソフラボンの作用によって乳がんの再発リスクが低減される可能性があるといわれています。ただし、サプリメントによるイソフラボンの大量摂取は、その効果も安全性も確認されていないため、おすすめできません。通常の食品から摂取するようにしましょう。

極端なダイエットは禁物

いざダイエットをするとなると、すぐに体重が落ちることを謳った方法や、メディアで話題になった方法を試したくなるかもしれません。しかし、体重が急激に減るようなダイエットは避けたほうがいいといわれています。ゆっくりと体重を落としたほうが、リバウンドの可能性が低いことを心得ておきましょう。

また、ダイエットについて不安や疑問がある場合は、担当医や看護師に相談するようにしてください。

 

参考: