抗がん剤の副作用が爪に現れたときのケア

抗がん剤治療の副作用のなかには外見に影響するものがあり、その見た目に悩まされる人が少なくありません。爪に現れる副作用もそのひとつです。そこで今回は、爪が黒くなった、割れやすくなった、浮いてきたなどの症状が現れたときのケアについてご紹介します。

爪に副作用が現れる理由

通常、抗がん剤は細胞分裂が活発な細胞をターゲットに作用します。そのため、がん細胞だけでなく正常細胞にも影響がおよぶケースがあり、副作用という形で症状が現れます。爪を作る爪母細胞も細胞分裂が盛んなために、爪に抗がん剤による副作用が出現する可能性があるのです。そうなると、爪が黒ずんだり、もろくなったりします。症状がひどくなると、爪の変形や炎症を起こすこともあるようです。

爪に影響の出やすい抗がん剤は?

爪に副作用が出やすい抗がん剤には、以下のものがあります。

  • フルオロウラシル
  • TS-1
  • カペシタビン
  • ドセタキセル
  • パクリタキセル
  • シタラビン

そのほか、抗EGFR阻害薬というタイプの分子標的薬でも、爪に副作用が生じることが知られています。

具体的なケアの方法と注意点

爪に副作用の症状が現れたときに、どのようなケアをすればいいのか、どのようなことに注意すべきか、以下で確認しましょう

基本ケアは「清潔」「保湿」「保護」

まず、基本的な爪のケアは、「清潔」「保湿」「保護」がポイントとなります。

爪とその周辺の清潔を保つことは、感染症を予防するうえで重要です。爪の間までを意識した、ていねいな手洗いを心がけてください。また、手の水気をふく際は、爪がタオルに引っかからないように注意します。ごしごしとこするのではなく、やさしくタオルを当てて水分を吸い取るようにするといいでしょう。

爪も皮膚と同様に保湿が必要です。手に保湿用のクリームやローションを塗るときは、爪全体にも塗るようにしてください。

そして、忘れてはならないのが爪の保護です。爪に亀裂が入っていたり変形したりしていると、さまざまなものに引っかかりやすいので、柔らかい綿の手袋を使うようにしましょう。蒸れが気になる場合は、メッシュタイプの手袋がおすすめです。長時間つけていても苦にならないものを探してみてください。

爪切りは爪の負担軽減を考慮する

長い爪は傷めやすいので、伸びすぎないように手入れしましょう。ただし、深爪には気をつけてください。また、爪を切る際に爪の両端の角を落としすぎると、爪が伸びたときに皮膚に刺さりやすくなります。傷の原因となるので、角を残すといいでしょう。

爪を切るタイミングは、爪がやわらかくなっている入浴後が理想的です。道具は、爪切りよりも爪専用のやすり(ファイル)を使ったほうが、爪にかかる負担が軽くなります。爪切りを用いる場合は、一度に大きく切るのではなく、少しずつ複数回に分けて切るようにしてください。

マッサージで爪の成長を促す

爪用のオイルやクリームを使い、根元から爪全体をやさしくマッサージします。保湿効果で爪が割れるのを予防できるだけでなく、爪の成長の手助けにもなります。

マニキュアや液体絆創膏を活用

爪に亀裂がはいっている場合や、爪の表面がでこぼこしている場合には、マニキュアや液体絆創膏(水絆創膏)を塗ると爪の保護に役立ちます。また、爪が黒ずんでしまったときにネイルカラー(マニキュア、カラーポリッシュ)を塗ると、変色をカバーできるだけでなく気分転換にもなるでしょう。

ただし、一般的なネイルカラーや除光液にはアセトンをはじめとした有機溶剤が含まれており、抗がん剤の副作用で弱った爪には強い刺激となります。爪に負担をかけないように、有機溶剤を含まない水溶性のネイルカラーを選びましょう。水溶性のネイルカラーには、除光液が不要だというメリットがあります。さらに刺激臭がないので、においに敏感になっている人にもおすすめです。

なお、爪や爪周辺に痛みや炎症がある場合は、ネイルカラーを使わないでください。また、ネイルカラーや液体絆創膏を落としたあとは、忘れずに保湿ケアをしましょう。

爪が浮いてきたときの対処法

副作用の影響で、爪が浮いてくることがあります。しかし、爪がはがれるのを恐れ、テープを巻いて固定してはいけません。テープで爪を圧迫すると膿がたまりやすくなり、感染症のリスクを高めてしまいます。痛みがなければ、浮いてはがれそうになっている爪は取ってしまって大丈夫です。清潔に保つことを優先してください。

爪が回復するまでケアを続けよう

多くの場合、抗がん剤の影響は治療が終了すれば症状が改善されます。しかし、時間がかかるケースもあるので、きちんと回復するまでは爪をいたわり、ケアを怠らないようにしましょう。また、爪のトラブルがひどいときは、がまんをせずに担当医や看護師に相談してください。

 

参考: