食品とがんのリスクの関係(塩蔵食品/プラスチック容器・ラップフィルム編)

野菜や果物を食べるとがんの予防につながり、赤肉や加工肉の過剰摂取は発がんの可能性を高めるという研究結果が報告されているように、食生活とがんの発生リスクには深い関係があります。そこで今回は、塩分の多い食べもの(塩蔵食品)とがんのリスクに注目します。さらに、食品用のプラスチック容器やラップフィルムと発がんリスクの関係についてもご紹介しましょう。

塩蔵食品とがんの関係

胃がんの発生にはヘリコバクター・ピロリという細菌の関与が示唆されていますが、塩分の摂取もリスクを高める要因として指摘されています。

国立がん研究センターでは、食塩・塩蔵食品の摂取量と胃がんの発生リスクの関係について、10年間の追跡調査を実施しました。塩分摂取量の違いで対象者を5つのグループに分けて比較したところ、男性では食塩摂取量が最も少ないグループで胃がんになったのは1年あたり1000人に1人だったのに対し、最も多いグループでは倍の500人に1人となったそうです。一方、女性には明らかな関連が認められませんでした。しかし、女性で胃がんを発症した人が少ないために正確なデータが得られなかったとも考えられ、食塩摂取量と胃がんのリスクが無関係とはいえないようです。

また、食品別の胃がんリスクも分析されています。その結果、塩分濃度が約10%と非常に高い塩蔵魚卵(たらこ、いくらなど)、塩辛、練りウニなどをよく食べる人は、胃がんの発生リスクが顕著に高くなりました。

なお、胃がんの発生には地域差があり、南九州や沖縄では罹患率が低い一方で、秋田や山形、新潟といった日本海側の東北地方では罹患率が高くなっています。その理由も、高塩分食品の摂取量と関連があると指摘されています。

塩分は胃粘膜にダメージを与え、炎症を引き起こすといわれています。また、塩分によって硝酸塩のような発がん物質の影響を受けやすくなるそうです。そのような状況下では、ヘリコバクター・ピロリに感染しやすくなるといわれています。

プラスチック容器・ラップフィルムとがんの関係

プラスチック容器に含まれる化学物質が、容器内の食べものや飲みものに移行することがわかっています。ただしそれはごくわずかで、プラスチックボトルを数時間にわたり60度に加熱する実験で食品に移った化学物質は、「安全ではない」と判断されるレベルよりはるかに低かったそうです。実験の極端な状態でも低いレベルだったことを考慮すると、日常生活で用いる範疇では大きな問題にはならないであろうと考えられます。

また、電子レンジを使う際に食品にラップフィルムをかけることが多いと思いますが、それで食品に悪影響があるという科学的根拠はないようです。

ただし、ラップフィルムやプラスチック容器の取扱説明書は十分に確認し、特に耐熱温度を超えて使うことのないようにしてください。

減塩を意識した食事を心がけよう

がん予防の観点で、プラスチック容器やラップフィルムに対する過度の心配はいりませんが、塩分の摂取量については配慮が必要なようです。

2015年版の「日本人の食事摂取基準」では、推奨される1日あたりの食塩の摂取量を男性は8g未満、女性は7g未満としています。しかし、2013年の「国民健康・栄養調査」で明らかになった1日あたりの食塩摂取量の実態は、男性が平均11.1g、女性が平均9.4gです。WHOの食塩摂取目標が5~6gであることも考慮すると、減塩を意識した食事を心がけるべきでしょう。

胃がん予防のためにも塩蔵食品の摂取は週に1~2回程度に抑え、新鮮な野菜や果物を積極的にとるようにしましょう。

 

参考: