がんの告知:事実を知らせるメリットとは?

病院に行き、がんの告知を受けたら、いったい人はどう対応するのでしょう?「がん=不治の病」という一般的な観念から、きっと奈落の底に突き落とされたような思いになることでしょう。

国内におけるがんの告知は、特別な事情がない限り、病名、病状、また手術や治療を受ける際、それに付随する危険性など、医者は患者に知らせる義務が法的に課されています。しかし、高齢の患者を持つ家族の中には、心理状態を心配して、がんの告知をしてほしくないと思う場合もあるかもしれません。

がんの告知は、患者の年齢、精神状態や病状などが複雑に絡み合い、医者やまわりの家族にとっては大きな難題であります。今回は、このがんの告知について触れてみます。

事実を知ることへの患者のメリットとは

患者は、がんを知らされないでいるより、「知ること」でメリットが生まれるとも言われています。例えば、病名を知ることで、真実を知らないことによる不安が解消され、前向きに闘う気持ちになることが挙げられます。その結果、家族との絆が深まったり、充実した人生を過ごしたりできるのです。

告知されて、ショックを受けても、病と闘っていこうという強い意志が持つことで、余命宣告された期間よりも長く生きている患者はたくさんいます。余命を意義のあるものにしようと強く願う気持ちが生まれる人もいます。また、自分の置かれている状況を知り覚悟を決めて闘病をすることは治療にベストな状況を作り出せます。

このような点からも、告知をすることにメリットがあると考えられています。

がんと知らされた患者の心理は

それでは、がんの告知は、患者の心理にどう影響するのでしょうか。
告知を受ければ、誰もが大きなショックを受けるでしょう。しかし、ショックの乗り越え方は、人さまざまかと思います。

東京女子医大客員教授の村上圀男先生の調査によると、ガンを告知されたショックから立ち直るために要する時間は、早い人なら5~6時間、平均でも2~7日だそうです。立ち直れなかった人は、ほんの数例だったそうです。家族や周囲の人が心配するほど、人間の心の回復力はそんなに弱くないことが伺えます。

また、なんらかの事情で、告知を受けていない患者のうち60%は、自分ががんであることを知っているという報告もあります。つまり、患者を気遣い告知をしないことを選択しても、病状などから敏感に察する人がいるのです。

立ち直る力を患者が持っていることも分かりますので、告知せずに曖昧にするより、告知をしていく方が良いことが分かります。

がんの告知の知らせ方も重要なポイント

ここで問題となるのが、「どうやってがんを告知するか」ということです。

がん告知という、必ずショックを受けるような事態にも関わらず、検査を繰り返し不安に陥らせたり、マニュアル的な冷たい口調で説明を受けたりすれば、患者は傷つきます。もちろん医師も患者の気持ちを察して、告知方法について考え「正しいマニュアル」づくりなども務めています。また、ひとつの方法として、家族が一緒になって告知を受け、一緒に闘っていくという気持ちを持っていくことも有効かもしれません。

がんの告知は、医師が行う義務であり、また患者の知る権利でもあります。しかし、患者の心理を傷つける行為であることも事実です。告知後の心のケアや家族の絆を支えに、前向きな闘病生活ができるようにすることが大切です。がんという大病を告知し闘うためには、入念な準備とケアが大切です。

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