食品とがんのリスクの関係(人工甘味料/赤肉・加工肉編)

がんを予防するには、栄養バランスのとれた健康的な食事が大切だといわれています。しかし、摂取した食品によって、がんになるリスクが変わるとの研究報告もあります。毎日の食卓に並ぶ食品は、がんの発生リスクにどの程度関与しているのでしょうか。今回は、人工甘味料と赤肉・加工肉についてみてみます。

人工甘味料とがんの関係

市販されている食品のなかには、人工甘味料が用いられているものは数多くあります。無意識のうちに、口にする機会が多いかもしれません。人工甘味料とがんのリスクについては多くの大規模な研究が行われており、結論からいえば人工甘味料ががんのリスクを増大させることはないとのことです。

人工甘味料のなかでも、サッカリンとアスパルテームは特に広く研究されています。サッカリンの摂取とがんのリスクが関連づけて考えられるようになったのは、ラットに膀胱がんを引き起こす可能性があるという1980年代の研究結果がきっかけでした。しかし、これはラット特有の現象で、のちに人間についてはサッカリンの摂取と膀胱がんの発生に関連がないことが判明しています。

アスパルテームは、1990年代半ばに脳腫瘍のリスクが危惧されていました。しかし、この報告は科学的根拠が乏しく、後年の多くの研究ではアスパルテームは人間のがんのリスクを増大させないという結果が出ています。加えて、50万人規模の研究においても、脳腫瘍やリンパ腫、白血病のリスクを高めることはないという結果が得られています。

2006年にはEFSA(欧州食品安全機関)によって、アスパルテームの摂取量が許容範囲内であればがんのリスクは上昇しないとの判断がなされました。多くの人工甘味料をとる人でも許容範囲のラインを大きく下回るとのことなので、神経質になる必要はないでしょう。

赤肉・加工肉とがんの関係

赤肉や加工肉を多く摂取すると大腸がんのリスクが上昇することが、海外の研究結果から示されています。ここでいう赤肉は脂肪の少ない赤身肉のことではなく、牛肉や豚肉のほか、羊肉、馬肉、ヤギ肉など、すべてのほ乳類の肉を指します。また、加工肉は、ハム、ベーコン、サラミ、ソーセージ、フランクフルトのほか、コンビーフ、ビーフジャーキーなどのことです。

IARC(国際がん研究機関)の発がん性評価では、赤肉は1日100g摂取するごとに大腸がんのリスクが17%上昇するとして「人に対しておそらく発がん性がある」グループに、加工肉は1日50g摂取するごとに大腸がんのリスクが18%上昇するとして「人に対して発がん性がある」グループに分類されています。

さらに、不確実ながら、赤肉はすい臓がんと前立腺がんに、加工肉は胃がんにも関連するとの指摘もあるようです。その一方で、鶏肉や魚肉には、がんのリスクとの相関を示唆する報告はありません。

日本人を対象とした研究では

国立がん研究センターの日本人を対象にした研究においても、女性は赤肉の摂取量が多い(1日80g以上)グループに結腸がんのリスクの上昇が、男性は肉類全般の摂取量が多い(1日100g以上)グループに結腸がんのリスクの上昇がみられています。

加工肉の摂取による結腸がんと直腸がんのリスク上昇は、男女ともに認められませんでした。しかし、加工肉の摂取量を細分化して解析したところ、最も摂取量が多い男性のグループに結腸がんのリスクの上昇がみられたそうです。

2013年のデータによると、日本人の赤肉摂取量は1日50g、加工肉摂取量は1日13gとのことです。結腸がんと直腸がんのリスク上昇がみられたグループの摂取量より、かなり少ない数字です。つまり、日本人の平均的な摂取量では、リスクの上昇が認められなかったのであろうと推測されます。

特定の食品の過剰摂取は禁物

赤肉や加工肉に大腸がんのリスクが指摘されるからといって、一切口にしないのは現実的ではなく、栄養の観点からも問題があります。また、がんのリスクとは無関係な人工甘味料にしても、無制限に摂取していいわけではありません。栄養バランス全体を考慮し、どのような食品であっても過剰摂取をしないことが重要です。

 

参考: