がん治療終了後の不安を乗り越えるには

がん治療が終わって退院できる日が訪れるのは、とても喜ばしいことです。ところが、自宅での生活に戻れた安心感と同時に、入院中には感じなかった不安を抱くケースがあるといいます。今回は、そのような不安感を乗り越えるために知っておきたいことをご紹介します。

退院後に抱く不安の原因

つらい闘病生活を終えて退院できたときには、安堵感や開放感に包まれることでしょう。しかし、退院後の生活のなかで、不安や戸惑い、ストレスを抱えてしまう人が少なくありません。病気への不安は消えたはずなのに、なぜこういった精神状態に陥ってしまうのでしょうか。

入院中は担当医や医療スタッフが身近にいて、治療の効果やスケジュール、副作用の可能性などの説明や、さまざまな対処をしてくれていました。また、何らかの不安があるときには、すぐに相談することもできました。つまり、入院中は信頼のおける医療スタッフの存在があったために、心の準備をしながら治療に前向きに取り組むことができたのです。退院後の不安感の原因は、このような身の周りの環境の変化による部分が大きいといえます。

思い描いていた退院後の生活と、現実のギャップも不安の一因となります。体力が落ちて1日の生活がつらいいと感じたり、入院前にできていたことがスムーズにできなくなっていたりするかもしれません。退院してようやく好きなものが食べられると思っていたのに、好みが変わって食事が楽しめないということもあるでしょう。

また、退院後はちょっとした体調の変化にも敏感になるものです。たとえ、快方に向かっての変化であっても、自分ではそれが判断できないために不安に感じてしまいます。

今の自分を基準に「普通の生活」を考える

退院して日常生活に戻った最初の数カ月は、変化の時期といわれています。不安を解消するには、入院前の生活を「普通」だと認識するのではなく、現在の自分を基準に考えるようにしましょう。つまり、変化を受け止めるということです。そして、体力的にも精神的にも無理なく過ごせるような工夫をしてください。

1日に何度か休憩をとらないと体力が続かないのであれば、会社や学校にそのことを伝えてスケジュールを調整します。食事に関しても、少しずつ複数回に分けて食べないと十分な栄養がとれないのであれば、間食やスムージーなどのドリンクで補うといいでしょう。

気軽に相談できる場を利用する

退院したら、担当医に相談することができなくなるわけではありません。治療終了後に定期的に検査を受け、体調や病歴などを確認する経過観察は、アドバイスを受けるいい機会となります。

経過観察は、最初の2~3年は3カ月ごとに受診します。その後、半年に一度、1年に一度とペースが変わっていきます。毎回の受診結果は詳しく説明を受け、日常生活での注意点を確認しましょう。さらに、自分が日常のなかで感じている不安や変化についても、受診のたびにきちんと伝えてください。また、経過観察期間中に不安を感じたときは、受診のタイミングでなくてもすぐに連絡をするようにしましょう。

経過観察以外にも、日常の不安について相談できる場所があると安心です。例えば、地域の民生委員に事情を伝えておき、体調が急変したときに連絡できるようにしておきましょう。その他、がん相談支援センターや患者会、患者サロンなどを積極的に活用することをおすすめします。

今の自分にとっての「普通の生活」をつくろう

不安を乗り越えて今の自分にとっての「普通の生活」をつくるには、以前とは違う情報が必要です。担当医や専門スタッフに相談したり、経験者の話を聞いたりして、不安を解消するための情報を集めましょう。

多くの人が「生き方が変わった」と表現するように変化を受け止め、無理のない生活を送ることが、治療後の不安を解消するポイントです。

 

参考: