がんの治療・療養中のかゆみ(掻痒感)の対処法

がんの治療・療養中に、皮膚のかゆみに悩まされるケースがあります。その原因は、病気の症状や治療の影響など、患者さんによってさまざまです。そこで今回は、かゆみが生じるメカニズムと適切な対処方法についてご紹介しましょう。

かゆみのメカニズム

皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織の3層で構成され、感染や皮膚障害を防御する役割を担っています。特に、表皮の一番外側にある角質層は、体内への細菌の侵入をブロックしたり、汗などによって表皮が過敏になることを防いだり、肌の水分を保持して柔軟性を維持したりといった、皮膚の健康を保つために重要な働きをしています。

かゆみは、物理的刺激、化学的刺激、心理的刺激などによって皮膚の防御機能が損なわれ、神経が刺激過敏の状態になることで生じます。かゆみがあると、どうしても爪でかきたくなるものです。しかし、かいてしまうとその部位を傷つけて症状が悪化し、かゆみをさらに強めるという悪循環に陥るケースがあります。

なお、がんの治療・療養中に生じやすいかゆみには、以下のようなものがあります。

  • 皮膚の乾燥によるかゆみ
    がんの症状や治療などの影響で十分な栄養、水分、休息をとることができないと、皮膚が乾燥してかゆみを引き起こす場合があります。
  • 治療の副作用によるかゆみ
    化学療法や放射線療法の影響で皮膚トラブルが生じ、かゆみを引き起こすことが知られています。
  • 肝疾患(黄疸)によるかゆみ
    肝疾患による黄疸があると、皮膚の末梢神経が刺激されてかゆみが生じるといわれます。

かゆみの適切な対処方法

かゆみには適切な対処をしないと、症状を悪化させることになりかねません。以下に、そのポイントや注意点をご紹介します。

  • 症状を記録する
    かゆみを感じた時間や部位をメモに残します。できるだけ詳細に記録しておくと、受診時に医師へ説明する際の助けとなり、適切な治療をスムーズに受けられます。また、かゆみのある部位の写真を撮影しておくと、その後の比較観察に役立つでしょう。
  • かゆみの原因を確認して取り除く
    かゆみを感じる部位の刺激になっていると考えられるもの、例えば肌に直接触れる衣類、汚れ、化粧品類、薬剤などを取り除きます。衣類は着用をやめ、汚れや化粧品、薬剤は流水で洗い流すか、清潔なガーゼやタオルに水を含ませて優しく清拭しましょう。その後は、症状が改善されるかどうかを観察してください。
    原因がわからないときに、自己判断で市販薬やオイルなどを使うのは避けましょう。適切な治療の妨げとなる可能性があります。
  • かゆみのある部位を冷却する
    入浴などによって体が温まると、かゆみをより強く感じます。応急処置として、かゆみのある部位を氷嚢や保冷剤、水で濡らしたタオルなどで冷やすと効果的です。
  • 医師の指示を守る
    治療の影響でかゆみが生じる可能性があることを知らされているときは、事前の説明に従って対処してください。処方薬がある場合は、医師の指示どおりに服用しましょう。
  • 皮膚の保護対策をする
    かいて患部の皮膚を傷つけないように、爪は短く切ってやすりで丸く整えます。就寝中に無意識にかいてしまう可能性がある場合は、手袋をつけたり、患部を包帯やサポーターで保護したりするといいでしょう。

早めの受診が必要なケース

強いかゆみを感じるものの、医療機関を受診する必要があるかどうか判断に迷うことがあるかもしれません。以下のようなケースでは、早めに医師に相談してください。

  • かゆみが全身に広がるケース
    はじめは一部(局所)にとどまっていたかゆみが、しだいに範囲が広がり症状も強くなるとき。
  • 日常生活に支障をきたすケース
    かゆみによる不快感やストレスがあまりにも強く、食事や睡眠といった日常生活に支障があるとき。
  • 症状が悪化するケース
    処方薬の効果がみられず、症状が日々悪化しているとき。

日々のスキンケアでかゆみを軽減しよう

薬剤による対症療法だけでなく、皮膚を清潔に保ったり保湿をしたりといったスキンケアを心がけることで、かゆみを軽減することができます。快適な療養生活を送るためにも、対処法のポイントを抑えておきましょう。

 

参考: