抗がん剤の副作用による口内炎や口内乾燥の予防と対処

抗がん剤治療において、口腔内の副作用は患者さんにとって非常につらいものです。痛みがあったり、食べものを飲み込みにくかったりして、思うように食事ができないと悩む人が少なくありません。そこで今回は、さまざまな口内トラブルのなかから口内炎と口内乾燥をピックアップし、その対処法についてご紹介します。

抗がん剤治療の副作用で生じる口の中のトラブル

一般的な抗がん剤治療の場合は約40%、強い抗がん剤をの場合は約80%の患者さんに、口内トラブルの副作用がみられるといわれています。

抗がん剤によって引き起こされる口内トラブルには、味覚障害、歯の感染症、口内炎、口内乾燥などがあり、食事や会話の妨げとなって強いストレスの原因となるもの多いのが特徴です。

例えば口内炎の場合、抗がん剤の投与を始めてから1週間ほどで症状が現れ始め、10~12日目ぐらいにピークになることが多いようです。抗がん剤治療が終わると自然に治る場合がほとんどなので、一時的な症状ととらえられています。しかし、口の中にできた傷口から細菌が入り込むと、全身の感染症を引き起こす可能性があるので、一時的な症状とはいえ軽視はできません。

今回は、口内炎と口内乾燥の2つに絞ってみていきます。

副作用で口内炎と口内乾燥が起きる原因

抗がん剤治療による口内炎と口内乾燥は、以下のような原因で生じると考えられています。

  • 口内炎
    口の中の粘膜を作り出す細胞は細胞分裂が盛んなために抗がん剤の影響を受けやすく、粘膜によるバリア機能が低下すること、そして白血球生産量の減少によって感染症に対する抵抗力が弱まり、少しの傷でも炎症を起こしやすくなることが原因となって引き起こされます。
  • 口内乾燥
    抗がん剤の作用が、唾液を分泌する唾液腺の機能低下を招くことで引き起こされます。

口内炎と口内乾燥の予防・対処のポイント

抗がん剤の副作用による口内炎や口内乾燥の予防・対処には、以下のポイントがあります。一時的にではなく、継続したケアが大切です。

口の中の状態をよくチェックする

口の中の状態の変化を把握するには、こまめなチェックが必要です。できれば治療前から口の中の状態を観察し、治療開始以降は毎日チェックするようにしましょう。口内炎ができたときは、場所や大きさ、色、出血の有無、舌苔の有無などを確認してください。また、味覚の変化がないかどうかも気にかけましょう。

口の中を清潔に保つ

毎食後と寝る前に歯みがきをして、口の中を清潔にしましょう。歯ブラシは動物の毛を用いたものではなく、ナイロン製で毛先が柔らかいものを使います。さらに、ヘッドが小さく、毛先のカットが平らな歯ブラシにすると、口の中の負担を軽減できます。歯みがき粉は、研磨剤や清涼剤、発泡剤などが入っていない低刺激のものがおすすめです。万が一しみる場合は、水だけで歯みがきをするといいでしょう。ブラッシングは、力を入れすぎないことが大切です。ただし、出血がある場合や口内炎がひどい場合は、歯みがきを中止して医師の指示に従ってください。

また、うがいも口の中の清潔を保つのに効果的です。2時間おき、1日7~8回を目安にするといいでしょう。

口の中を保湿する

唾液の分泌量が減って口の中が乾燥すると、痛みが強くなりやすくなるほか、感染も生じやすくなります。そこで、こまめにうがいをして口の中の粘膜が乾かないようにします。水道水だと苦痛を感じるときは、生理食塩水を使うといいでしょう。ただし、アルコールを含むうがい薬は、粘膜の水分を奪うので使わないでください。また、口の中の状態に合わせて、保湿効果のあるジェルや軟膏、スプレーなどを使うのもおすすめです。

痛みをコントロールする

口の中の痛みが強いと、食事をとることもままならなくなります。がまんせずに担当医に伝え、痛み止めを処方してもらってください。粘膜の知覚を一時的に麻痺させる表面麻酔薬を、痛みのある場所に塗ったりうがい薬に混ぜたりするのも有効です。

体調を整え体力の維持も忘れずに

口の中のトラブルに備え、体調を整えて体力を維持することが大切です。バランスの取れた食事を心がけ、十分な睡眠をとるようにしましょう。

口内炎の痛みは食べものや飲み物が刺激になります。食事は熱いものや刺激物、固いものなど口の中への刺激が強い食品を避け、味付けも薄めにします。柔らかく調理したり、細かく刻んだり、ミキサーにかけたりといった、工夫をするといいでしょう。

喫煙は、ヤニで口の中が汚れるだけでなく、粘膜の血行が低下して口内炎や感染症が重症化する可能性が高まります。喫煙の習慣がある人は、この機会に禁煙しましょう。

 

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