更年期障害とがんの関係

更年期障害の改善に用いられるホルモン補充療法が、がん発症の可能性を高めるという指摘があります。がん予防の観点では、つらい更年期障害をがまんすべきなのでしょうか。そこで今回は、ホルモン補充療法について確認し、更年期障害とがんの関係を探ってみます。

更年期障害が起きるメカニズム

ホルモンには男女共通のもののほか、女性特有のホルモンや男性特有のホルモンもあります。女性特有のホルモン、すなわち女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、脳の指令を受けて卵巣から分泌されます。

エストロゲンは卵胞ホルモンとも呼ばれ、女性らしい丸みをおびた体つきを作ったり、生理の周期を安定させたりといった働きをしています。また、自律神経のバランスを保つ作用もあります。

プロゲステロンは黄体ホルモンとも呼ばれ、受精卵が子宮内膜に着床しやすい状態を作ります。また、妊娠後の胎盤の状態を安定させる作用があります。

エストロゲンは、閉経前後から卵巣機能の衰えなどによって分泌量が減少します。すると、脳の視床下部にある下垂体からエストロゲンの分泌を促す命令が出ますが、卵巣からのエストロゲンの分泌量は増えません。こうしたホルモンバランスの乱れが自律神経に影響し、精神的にも身体的にも不調を感じるような状態になりやすくなるのです。これを、更年期障害といいます。

更年期障害の治療とがんの関係

更年期障害の症状は、突然の発汗(のぼせ、ほてり)や疲労感、頭痛、腰痛、立ちくらみ、イライラ、不眠などさまざまです。いずれも病気だとはいいにくいような、気持ちの持ち方しだいのような、まさしく不快で不調な状態といえるでしょう。こうした本人にしかわからないようなつらい症状を改善するために、更年期障害の原因であるエストロゲンを飲み薬や貼り薬、塗り薬で補うホルモン補充療法が用いられることがあります。

しかし、ホルモン治療薬には、がんのリスクを含むいくつかの副作用が考えられます。

  • 不正出血や乳房のハリ、下腹部の痛みなど
    エストロゲンの本来の働きによって発現する副作用なので、治療薬に体が慣れれば治まります。しかし、症状が続く場合は、担当医の指示に従って治療薬の量を調整しましょう。
    体に悪影響のない一時的な症状ではありますが、すぐに担当医に相談をすることが大切です。
  • 子宮がんのリスク
    長期間、エストロゲンのみを投与すると、子宮内膜が増殖して子宮体がんのリスクが高まるといわれています。そのため、エストロゲンと一緒にプロゲステロンも投与するケースが多いようです。

乳がんはエストロゲン由来の疾患といわれており、ホルモン補充療法でエストロゲンが過剰に投与されると乳がんのリスクが高まるとされていました。しかし、その見解は見直されています。

治療中の体調変化を記録して副作用対策に活かそう

更年期障害をがまんするのではなく、積極的に治療をするのは大切なことです。しかし、がんの発症リスクを含めた副作用を完全に回避できるわけではありません。自分に合った治療やケアを受けるためには、担当医に体調を正確に把握してもらうことが必要です。

そこで、治療開始後の体調の変化を記録しておくことをおすすめします。特に、薬の使用前後での変化や、薬を用いたことで新たに現れた症状などを、細かくメモしておくといいでしょう。こうした記録を担当医に見せることで、体調の変化をより詳細に伝えることができ、副作用に関する相談もしやすくなります。

 

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