がん罹患率に地域差が生じる原因とは

国立がん研究センターの報告によると、がんの種類によって罹患率や死亡率に地域差があるそうです。その背景には、どのような原因があるのでしょうか。今回は、がんのリスクの地域差に関する原因と対策について考えてみます。

がんの罹患率・死亡率における地域差の傾向と原因

国立がん研究センターが2016年3月に公表した情報「全国がん罹患モニタリング集計」(2012年度47都道府県のがん登録データ)によると、すべてのがんにおいて、秋田県、和歌山県、石川県、鳥取県、福岡県、島根県では男性の罹患率が高く、また、女性の罹患率は福岡県、石川県、東京都で高くなっています。

以下で、主ながんの罹患率と死亡率の傾向と原因を確認してみましょう。

  • 乳がん
    東京都の罹患率が突出しており、死亡率も高くなっています。乳がんは出産や授乳経験のない女性の罹患リスクが高いため、東京都の罹患率が高いのは全国最下位の出生率が一因であると考えられます。
  • 肝臓がん
    福岡県、佐賀県、和歌山県、大分県で、男女ともに罹患率が高いと報告されています。これらはC型肝炎ウイルスの感染者が多い地域でもあるため、関連があると考えられます。C型肝炎は投薬で完治が目指せるようになりましたが、肝臓がんのリスクとなる大きな要因であることに変わりはありません。
  • 大腸がん
    北海道、東北地方と中部地方で大腸がんであると診断された人の数値が高くなっています。そのなかでも、青森県は罹患率が全国2番目、死亡率が全国トップでした。大腸がんのリスクとして挙げられるのは、肥満と運動不足に着目すると、青森県のBMI(肥満度を占める体格指数)平均値は、男性は全国2番目に高く、女性は全国6番目に高くなっています。また、1日の平均歩数も少ないとのデータもあります。明確な理由は不明ですが、このような背景が影響していると考えられます。
  • 胃がん
    塩分摂取量が多い地域である東北地方、および、日本海側の地域の罹患率が高くなっています。胃がんのリスクを高める要因のひとつとされるピロリ菌は、胃の塩分濃度が高いほど生存しやすくなることが関連していると考えられます。
  • 肺がん
    男性の罹患率は和歌山県、石川県、香川県、福岡県、北海道が、女性の罹患率は石川県、福岡県、東京都、福井県、和歌山県の数値が高くなっています。一方、死亡率では男女ともに北海道がトップです。これは、喫煙率の高い地域と概ね一致しているとのことです。

罹患率と死亡率に差がある理由は?

がんの罹患率は高くても死亡率は低い地域、もしくは罹患率は低くても死亡率が高いという地域があります。この違いが生じる理由は、どこにあるのでしょうか。

男性の胃がんを例にすると、罹患率が高いと報告された宮城県、福島県、福井県の死亡率は、全国平均とさほど変わりませんでした。しかし、罹患率が平均的な茨城県、栃木県、大阪府では死亡率が全国平均を上回る結果になっています。

罹患率が高い一方で、死亡率が低い地域では、医療機関同士の連携が進んで治療の体制が充実している可能性があるのではないかと考えられます。

それぞれの傾向と原因から考える対策

がんの罹患率には地域の特性、特に生活習慣や食事内容が影響していることがみえてきました。また、高罹患率でありながら低死亡率の地域があることから、がんの発見・治療に関する環境も大きな要因として浮かび上がってきます。

生活習慣とがんのリスクを把握し、早期発見・早期治療に努めることが大切だといえそうです。

 

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