脱毛や吐き気だけではない!眼に現れる抗がん剤の副作用

抗がん剤の副作用は脱毛や吐き気、口内炎などがよく知られていますが、場合によっては眼に影響が現れることがあります。しかし、一般的な認知度が低いため、副作用と思わずに症状をがまんしている人が少なくないようです。そこで今回は、眼に現れる抗がん剤の副作用についてみていきましょう。

眼に現れる副作用の症状

眼には現れる抗がん剤の副作用には、どのような症状があるのか、以下で確認してみましょう。

  • 涙道(るいどう)障害
    涙の通り道である涙道が狭まったり、ふさがったりします。
  • 流涙(りゅうるい)
    眼の表面が涙でにじんだり、涙がこぼれたりします。
  • 羞明(しゅうめい)
    異常にまぶしく感じます。
  • 視力低下
    物が見えにくくなります。
  • 変視症
    物が歪んで見えます。
  • 小視症
    物が小さく見えます。
  • 複視
    物が二重に見えます。
  • かすみ目
    視界にかすみがかかったようになります。
  • 光視症
    暗い場所で眼を閉じていても、眼の端(耳側であることが多い)で光が走るように感じます。
  • 飛蚊症(ひぶんしょう)
    小さな糸くずや虫のようなものや、浮遊物が飛んでいるように見えます。
  • ぶどう膜炎
    羞明やかすみ目、視力低下、飛蚊症、眼の痛みなどの症状が現れます。
  • 黄斑浮腫
    視力低下、小視症、かすみ目などの症状が現れます。
  • 網膜静脈閉塞
    視力低下や変視症などの症状が現れます。
  • 結膜炎
    眼が赤くなる、目ヤニが出る、異物感、流涙などの症状が現れます。
  • 角膜障害
    眼の痛みや異物感、視力低下などの症状が現れます。
  • 角膜びらん
    角膜の表面がただれます。
  • 角膜潰瘍
    感染によって、角膜の中央が細菌に侵食されます。
  • 睫毛乱生(しょうもうらんせい)
    まつ毛が正しい向きに生えず、不ぞろいになります。
  • 睫毛の長生化
    まつ毛が異常に長くなります。

副作用が眼に現れやすい抗がん剤

ここでは、眼に副作用が現れやすい抗がん剤を確認しましょう。

殺細胞性の抗がん剤

  • テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム
    流涙、涙道障害、視力低下、眼の痛み、羞明、角膜炎、角膜びらん、角膜潰瘍
  • フルオロウラシル
    流涙、涙道障害、視力低下、眼の痛み、羞明、角膜炎、角膜びらん、角膜潰瘍
  • シタラビン
    結膜炎
  • タモキシフェン
    視力低下、変視症など
  • パクリタキセル
    涙道障害、視力低下、変視症、小視症など
  • パクリタキセル(アルブミン懸濁型)
    視力低下、結膜炎、角膜炎、黄斑浮腫、角膜障害、網膜障害
  • ドセタキセル
    涙道障害、視力低下、変視症、小視症など
  • シスプラチン
    視力低下や視野障害などを起こす球後視神経炎
  • ゲフィチニブ
    睫毛乱生や睫毛の長生化、それらによる角膜炎など
  • エルロチニブ
    睫毛乱生や睫毛の長生化、それらによる角膜炎など
  • セツキシマブ
    睫毛乱生や睫毛の長生化、それらによる角膜炎など
  • アファチニブ
    結膜炎、かすみ目など
  • トラメチニブ
    ぶどう膜炎、網膜剥離、網膜静脈閉塞などによる視力低下、眼の痛み、羞明、かすみ目、飛蚊症など
  • ニボルマブ
    ぶどう膜炎によるかすみ目、羞明、飛蚊症など
  • イピリムマブ
    ぶどう膜炎、虹彩毛様体炎などによる視力低下、目の痛み、かすみ目、飛蚊症、羞明など

分子標的型の抗がん剤

免疫治療薬

抗がん剤の眼に対する影響の原因は?

抗がん剤の眼に対する影響の原因やメカニズムは明らかになっていませんが、抗がん剤が涙のなかに排出されて眼の組織に影響を与えているのではないかと推測されています。また、角膜細胞は細胞分裂が活発なため、抗がん剤の影響を受けやすいと考えられるほか、分子標的型の抗がん剤の標的が網膜細胞のなかにも存在しているのではないかとの推測もあります。

TS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)の場合

胃がん、直腸がん、再発乳がんなどの治療に広く用いられるTS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)による流涙は、症例の半数が投与開始から3カ月以内に発現しています。その原因としては、角膜障害による涙液分泌亢進や、涙道障害による涙液排出低下が考えられています。

なお、角膜障害は、涙の中に分泌されたフルオロウラシルが角膜上皮細胞や角膜上皮幹細胞に影響を及ぼして発症すると推測されています。涙道障害は、涙の中に分泌されたフルオロウラシルが涙道を通過する際に、涙道粘膜の炎症や、涙道扁平上皮の肥厚と間質の線維化を起こすことで、涙道が狭くなったり塞がったりしていると考えられていますが、はっきりとはわかっていません。

目に異常を感じたら早めに担当医に相談しよう

抗がん剤治療中に眼の何らかの症状が現れたとしても、それが副作用とは限りません。しかし、原因を特定して適切な処置を受ける必要があります。放っておくと後遺症が残る可能性もあるので早めに担当医に相談し、必要に応じて眼科医を受診しましょう。

 

参考:

流涙|TS-1 ティーエスワン®総合情報サイト