野菜や果物の摂取と肺がん予防の関係

食生活と消化器官のがんの関連については、これまで多くの研究結果で指摘されています。国立がん研究センターの最近の研究では、食生活によって呼吸器官である肺のがん予防につながる可能性がみられました。そこで今回は、肺がんのリスクを軽減できる食生活についてご紹介します。

国立がん研究センターでの研究内容

国立がん研究センターの研究報告では、野菜や果物の摂取が肺がんに予防的であることが示されています。また、食事とがんの関連の研究評価を行なう世界がん研究基金と米国がん研究機構による報告では、カロテノイドの豊富な食物と果物にはほぼ確実に肺がん予防効果があり、非でんぷん質の野菜(いも、トウモロコシ、かぼちゃなどはでんぷん質の野菜)は肺がんのリスクを低下させる可能性があると評価されているそうです。

国立がん研究センターでは、野菜と果物の摂取と肺がん予防の関連をより明確にする目的で、今回の研究を行いました。そして、4つのコホート研究(特定の集団を対象に、健康状態などの経過を長期的に追跡調査する研究方法)で得られた20万人以上のデータを解析したのです。

今回の研究で見えてきたこと

今回の研究では、野菜や果物摂取と肺がんのリスクについて、以下のようなことが見えてきました。

  • 果物を摂取すると男性の肺がんリスクが減少する可能性
    男性で果物の摂取量が中程度の場合、肺がんによる死亡リスクが29%、肺がんの罹患リスクが17%、それぞれ減少しました。このリスク減少は、特に喫煙経験者に著明に認められたそうです。なお、女性においては男性ほど明確なリスクの変化が認められなかったと報告されています。
  • 果物の摂取量による肺がんリスクへの影響
    果物の摂取量が最大の群と最小の群を比較したところ、最大の群の肺がんリスクは最小の群の85%に留まりました。ただし、果実の摂取と肺がんのリスクの関係については、研究の途上です。
  • 野菜の摂取と肺がんリスク軽減の関連については根拠が不十分
    これまで野菜の摂取と肺がんリスク軽減について注目した研究が多く実施されていますが、今回の研究に関しては科学的根拠が不十分であるという結論に至ったそうです。その理由としては、生物学的なメカニズムを説明する研究結果がある一方で、疫学研究の結果が不確定であることが挙げられています。

肺がん予防につながる食生活とは

日々の生活に果物を取り入れることで、肺がんのリスク軽減できる可能性があります。とはいっても、果物ばかりを闇雲に食べればいいというわけではありません。大前提として、栄養のバランスの取れた食事をとることが大切です。そのうえで、毎回の食事に一品、果物を添えてみてはいかがでしょうか。

肺がんの発症は、食生活以外にも生活環境や習慣が複雑に影響しあっています。食生活に目を向けるだけでなく、喫煙をはじめとした生活習慣を見直すことも重要です。

バランスのとれた食事を心がけよう

野菜や果物の摂取は肺がんだけでなく、ほかのがんのリスク低減にもつながるといわれています。また、脳卒中や心筋梗塞といった生活習慣病の予防にも有効だとされています。しかし、そればかりに気を取られるのではなく、かたよりのないバランスのとれた食事を心がけてください。

 

参考: