脱毛の副作用を軽減!頭皮冷却装置への期待

化学療法に用いられる薬剤の種類によっては、脱毛の副作用が発生します。しかし、アメリカで報告された研究結果によると、化学療法を受けている乳がん患者さんに頭皮冷却装置を使ったところ、約半数が毛髪を維持できたそうです。今回は、日本でも開発と臨床試験が進められている頭皮冷却装置についてご紹介します。

頭皮冷却装置とは

頭皮冷却装置は、がんの化学療法で発現する副作用のひとつである、脱毛の予防・軽減を目的とした医療機器で、クールキャップともいわれます。装置で頭皮を冷却して血流を低下させることで、化学療法の薬剤が毛包へ及ぼす影響を抑制し、脱毛の予防・軽減が期待されています。

2017年3月現在、日本では海外で生産された頭皮冷却装置が使われていますが、日本人の頭にフィットしないために効果的に冷却できないケースがあるようです。そのため、国内企業が日本人の頭に合った頭皮冷却装置を開発しており、臨床試験が進められています。

使用者の約半数に毛髪維持の効果

アメリカのベイラー医科大学が、アメリカ国内の7施設、乳がん治療で化学治療を受ける182人の女性を対象に頭皮冷却装置の有効性を調査したところ、使用者の約半数が毛髪を維持できたとの結果が得られました。一方、装置の不使用者は、脱毛を予防できなかったそうです。

化学療法の副作用による脱毛は、患者さんにとって心身両面の大きな苦痛となり、QOL(生活の質)を低下させる要因のひとつであると考えられています。頭皮冷却装置は、患者さんのストレスを軽減とQOLの維持・向上を目的に開発され、効果の向上を目指して研究が進められています。

頭皮冷却装置の課題

頭皮冷却装置の効果と、化学療法に使用される薬剤の関連はまだ明らかになっていません。そのため、脱毛の予防効果は患者さんの状況や治療内容によって異なる可能性があります。

また、頭皮を冷却する際に、頭部の冷えや寒気、頭痛、ふらつき、吐き気、倦怠感、精神的苦痛を伴うとの報告があります。そのため、鎮痛剤や制吐剤、抗不安薬などによる適切な対処が必要だと指摘されています。さらに、冷却に起因する苦痛への対策としては、電気毛布で体幹(頭と四肢以外の胴体部分)を十分に保温することが有効だといわれています。

ほかにも、装置の装着状態に不安を感じてキャップを強く締め付けすぎる傾向があるようです。圧迫感や顎関節痛の原因となるので、医師の指示に従い適切に調整する必要があります。

化学療法の副作用による苦痛低減への期待

化学治療の副作用による外見の変化は、患者さんにとって強い不安となります。特に脱毛は、女性だけでなく、男性にとっても深い悩みとなるため、頭皮冷却装置にかかる期待は、常に大きいといえるでしょう。機器を備えていることが条件となりますが、関心のある人はかかりつけの医師や担当看護師などに相談してみてはいかがでしょうか。

 

参考: