抗がん剤の副作用による脱毛のケアについて

抗がん剤の副作用としてよく知られる症状に脱毛があります。しかし、すべての抗がん剤で脱毛が生じるわけではありません。そこで今回は、抗がん剤の種類による脱毛の発現率や程度に加え、治療中・治療後の頭皮のケアについてもご紹介します。

脱毛の副作用が起きやすい薬剤

抗がん剤治療による脱毛の副作用は、用いられる薬剤によって発現率に違いがあります。

例えば、タキサン系のパクリタキセルやドセタキセルは70%以上、アンスラサイクリン系であるドキソルビシンやアントラサイクリン系のエピルビシンは60%以上と、脱毛発現率が高い薬剤です。また、シクロホスファミドやカペシタビン、イリノテカンも、脱毛を注意すべき副作用としています。その一方で、ビノレルビンやトラスツズマブには、脱毛の副作用がないとされています。

脱毛の副作用が起きる時期

抗がん剤の投与開始から2~3週間で脱毛が始まるケースが多いようです。その後、1~2週間でかなりの量の毛髪が抜けますが、毛根が完全になくなるわけではないので一時的なものです。また、症状には個人差もあります。

なお、髪が長いと抜けた毛が絡みやすく、見た目の量が多いので精神的ショックが大きくなります。そのため、抗がん剤治療の前に、髪を短くカットしておくことをおすすめします。しかし、極端に短くしすぎると抜けた毛で肌がちくちくするほか、抜けた毛髪の掃除にも手間がかかってしまいます。それをふまえたうえで、カット後の髪の長さを決めるといいでしょう。

抗がん剤治療中の頭皮ケアのポイント

頭皮は皮脂量が多いため、清潔を保つことが大切です。脱毛を恐れて洗髪を控えると、吹き出ものが出やすくなったり、毛穴が詰まって発毛に影響があったりします。抗がん剤治療の開始前と同じ頻度で洗うようにしましょう。

シャンプーは従来使っていたものでかまいません。しかし、医薬部外品のシャンプーにはフケやかゆみを抑える殺菌剤が含まれており、抗がん剤治療中のデリケートな頭皮にとっては刺激が強いため、避けたほうがいいでしょう。また、ベビー用のシャンプーは低刺激ですが、洗浄力が弱いのでおすすめできません。

まず、シャンプーを手のひらに取って十分に泡立てます。そして、頭皮をごしごしとこするのではなく、指の腹を地肌に押し付けて頭皮を頭の中央に向けて動かし、汚れを毛穴から浮き立たせるイメージで洗いましょう。また、洗ったあとのすすぎも大切です。十分に時間をかけ、すすぎ残しのないようにしてください。

なお、抗がん剤治療中は、育毛剤の使用や頭皮マッサージは避けてください。血行が促進され、抗がん剤の効きめに影響が及ぶ可能性があります。

抗がん剤治療後の頭皮ケアのポイント

抗がん剤治療の終了後、1~2カ月経って頭皮に問題がないことが確認されたら、頭皮をもみほぐすマッサージをしましょう。髪の毛が急に抜け落ちると頭皮がたるんでしまいますが、マッサージをすることで弾力が戻るといわれています。また、マッサージには血行促進の効果があるため、髪の毛に栄養がいきわたりやすくなります。

髪の毛が生えそろってきても、頭皮が落ち着くまでに1年間程度かかります。それまではパーマやヘアダイは控え、担当医の許可を得てから再開してください。そして、ヘアダイの再開時は、以前と同じ染毛剤を使う場合でも必ずパッチテストを実施しましょう。

美容院を利用したいけれど人目が気になるときは

中途半端に髪の毛が生えてきた状態では、髪をカットしたくても人目のある美容院は利用しづらいものです。そのようなときは、大学病院などに入っている理美容室を探してみるといいでしょう。また、美容院によっては、時間外や個室で対応してくれるところがあります。予約をする際に、相談してみるといいかもしれません。

また、自分の髪の毛が生えそろう前に、かつらをかぶったままカットしてもらう方法もあります。自然な仕上がりになりますが、どの美容院でも対応してもらえるわけではありません。希望する場合は、事前に確認するようにしてください。

生活習慣に気を配って元の髪の毛を取り戻そう

抗がん剤治療が終わってから半年~1年程度で、自分の髪の毛で生活できるようになります。髪質が変わり、くせ毛や白髪が生えてくることもありますが、2年ほどで元に戻る場合が多いようです。

育毛のためには、髪に必要な栄養分をしっかりとることが大切です。海藻類が髪の毛にいいという話をよく耳にしますが、そればかりを食べても効果的ではありません。栄養バランスのとれた食事を心がけてください。特に、良質なたんぱく質やビタミンE、亜鉛、鉄などを多く含む食べものを積極的に取り入れるといいでしょう。

髪は、成長ホルモンが分泌される睡眠中に育ちます。そのときに頭皮がきれいな状態となるように、洗髪は就寝前に済ませるようにしましょう。また、血行の促進も重要です。体調に合わせて軽い全身体操やウォーキングをすることをおすすめします。

 

参考: