がんとうつ病の関係

がんと診断された患者さんは、精神的に強いストレスを受けることになります。過度のストレスはうつ病の原因となるとされ、がん患者さんの1/4がうつ病になるといわれるほどです。そこで今回は、うつ病の症状や症状が現れやすい時期、うつ病になりやすい年齢など、がんとうつ病の関係についてご紹介します。

がんにかかるとうつ病になりやすい理由

近年、がんは治る病気になってきたといわれていますが、がんと診断されて大きなショックを受ける人は少なからずいらっしゃいます。がんの症状や治療による体の苦痛に加え、精神的にも大きなストレスがかかり、心のバランスを崩してしまうケースは珍しくないのです。

予後がいいとされている早期乳がんの患者さんでも、30%の人が診断後に強い不安、うつ傾向を感じているという調査結果があります。予後のよくないがんになるとさらにその傾向が強まり、頭頸部がんでは17%の患者さんが、進行肺がんでは19%の患者さんが、診断後に抑うつを患ったという報告があるそうです。

また、がん治療が原因となるケースがあります。乳がんのホルモン療法で用いられる抗エストロゲン薬が、薬剤性のうつ病を引き起こす可能性があるのです。うつ病と診断された乳がん患者さんの約30%が、抗エストロゲン薬が原因だったとの報告もあります。

うつ病になりやすい時期はがん診断後の2週間

がんと診断されると大きなショックを受け、個人差はありますが崖から突き落とされたような落ち込みの期間が2週間ほど続くケースが多いといわれます。その後、一般的には自分を取り戻していきますが、なかには2週間以上過ぎても落ち込みから回復できず、うつ病になってしまうことがあるのです。

近年増えている、入院せずに通院でがん治療をするケースでは、うつ病になる可能性が高まるといわれています。入院期間は、医師や看護師、患者仲間から情報を入手し、自分の病気や治療、生き方について考える機会となります。しかし、通院治療の場合は情報が得られず、不安感が増幅されてしまうのです。

また、初期治療が一段落した患者さんも、再発の不安から心のバランスを崩しやすいようです。

うつ病になりやすい年齢は60歳未満

うつ病になりやすい年齢は、60歳が境になっていることが指摘されています。60歳未満のがん患者さんは、仕事や家族、特に子供のことを心配し、不安を強めるケースが多いようです。

また、乳がんの患者さんは、ほかのがんに比べ罹患年齢が若いことから、うつ病になる可能性が高いといわれています。

うつ病の症状とは

うつ病は、正常な悲しみの感情とは異なる特定の症状がみられます。また、不安や気持ちの落ち込みといった精神面の症状だけではなく、体がだるさ、食欲不振などの身体的な症状も現れることを認識しましょう。

また、うつ病になるとがん治療の意欲を低下させるばかりか、自殺の衝動を引き起こすおそれがあるので注意が必要です。

以下のような状態が強く現れ、日常生活に支障がある場合、症状が2週間以上続く場合、日を追うごとに症状が悪化している場合は、早めに担当医に相談してください。

  • 眠れない。
  • 食欲がない。
  • 1日の多くの時間を悲しい気持ちのまま過ごす。
  • 気持ちが落ち込む。
  • やる気が出ない。
  • 趣味のように今まで楽しんでいた活動に、興味も喜びも感じられない。
  • 体がだるい。原因不明の疲労感がある。
  • 頭が重い。
  • 理由のない罪悪感がある。
  • 怒りっぽく、いらいらする。
  • 肉体的、精神的な反応が鈍くなる。
  • 集中することができない。
  • 死や自殺について考えることが多い。

がん患者さんだけでなくご家族も注意しよう

うつ病にかかりやすいのは、がん患者さんだけではありません。さまざまな調査研究によると、がん患者さんのご家族の10~50%に不安や抑うつがみられるそうです。

精神的なストレスが強くなると、疲れていても眠れなくなります。不眠が続くご家族がいる場合は、迷わず専門家に相談してください。

 

参考: