がんの治療中にリンパ浮腫が生じたときの注意点

がん治療の影響で、体にリンパ浮腫によるむくみが生じることがあります。リンパ浮腫は早期発見が大切だといいますが、そのためにはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。リンパ浮腫が出たときの注意点や、すぐに受診すべき状態などとともにご紹介します。

リンパ浮腫の原因や症状

リンパ浮腫が生じる原因は、抗がん剤治療や放射線治療の影響、心臓や腎臓、肝臓といった臓器の働きの低下、低栄養など、さまざまな要素が考えられます。

重症化を避けるためには早期発見が重要ですが、初期症状を自覚しにくいために見過ごしてしまう場合があります。以下のような変化を見逃さないようにしましょう。

  1. 初期
    それまで見えていた静脈が見えにくくなったり、皮膚をつまんでもしわが寄りにくくなったりします。
  2. 軽度から中程度
    腕や脚が太くなり、だるさや重さを感じます。また、手足の甲を指で押さえると、あとが残ることがあります。
  3. 重度
    関節を曲げにくくなり、体を動かしたときに違和感を覚えるようになります。また、皮膚が乾燥しやすくなり、硬くなったり毛深くなったりすることもあります。

ほかにも、手が握りにくい、横になったときに息がしづらいといった症状が、リンパ浮腫のサインであることもあります。

がん治療でリンパ浮腫が生じる可能性がある場合は、両腕・両脚の太さを定期的に測り、記録しておくことをおすすめします。その際は、腕の付け根、ひじの上、ひじの下、手首、脚の付け根、ひざの上、ひざの下、足首など、複数箇所を計測しておくといいでしょう。ポイントは、同じ時間に同じ姿勢で計測することです。また、1~2日ごとに、同じ時間の体重を計測しておきましょう。

リンパ浮腫予防のために日常生活で気をつけたいこと

リンパ浮腫の予防には、スキンケアが有効であるといわれています。石けんやボディソープは肌に合うものを選び、よく泡立ててからやさしく洗うようにしましょう。指の間までくまなく洗い、清潔を保ってください。石鹸を洗い流したあとの水気もよく拭き取るようにしましょう。また、がんの治療中は皮膚が乾燥しやすいことが多いので、保湿クリームで肌の潤いを保ちます。

ケガなどで炎症を起こすと、リンパ浮腫の発症のきっかけや悪化の原因となる可能性があります。そのため、皮膚に傷をつけないようにすることも大切です。日常生活でつくりやすい切り傷や擦り傷、虫さされ、日焼け、やけど、しもやけなどには注意してください。爪の手入れをする際は、深爪に注意しましょう。

また、バランスの取れた食事を心がけ、激しい運動、長時間の立ちっぱなしや座りっぱなし、重い荷物を持つといった、体に負担をかけるようなことは避けましょう。長時間の入浴やサウナなどの過度な温熱刺激にも注意が必要です。下着や衣類は体を締め付けないゆったりしたものを選び、きつい靴やハイヒールは履かないようにしましょう。

リンパ浮腫によるむくみに気がついたら

リンパ浮腫によるむくみが生じたときは、原因と症状に応じた適切な処置をしなければなりません。間違ったケアをすると、かえって悪化させてしまうこともあるので、自己判断での手当ては禁物です。すぐ担当医に連絡してください。

リンパ浮腫があるときは皮膚がより乾燥しやすくなるので、クリームなどで保湿を心がけましょう。保湿クリームは医療機関で処方してもらうこともできます。

また、皮膚が傷つきやすくなるので、入浴時に体を強くこすらないように気をつけてください。感覚が鈍ってしまうことがあるので、手袋や靴下で皮膚を保護することも大切です。爪の手入れをする際は、深爪に注意しましょう。

なお、脚や腕がむくんでいる場合には、横になるときに枕やクッションなどを使い、脚や腕が心臓よりも高い位置になるように調整するといいでしょう。

すぐに受診すべき症状

以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

  • 1日以上、排尿がなかったり、尿量が非常に少なかったりする場合
  • どちらか一方の脚や腕だけがむくんだ場合
  • むくんだ部分に熱や赤みを伴う場合
  • 息切れがする場合や、脈が速くなった場合
  • 特に午前中、顔や首にむくみがみられた場合
  • 1週間以内に2kg以上の体重増加がみられた場合

リンパ浮腫には予防的ケアと早期発見を

リンパ浮腫の予防には、皮膚の清潔を保つこと、皮膚を保湿すること、皮膚に傷をつくらないことが大切です。日ごろから気をつけるようにしてください。

また、リンパ浮腫の重症化を避けるには、早いうちに適切な処置を受ける必要があります。リンパ浮腫の早期発見に努め、症状に気がついたらすぐに受診しましょう。

 

参考: