肝がんの原因の7割を占めるC型肝炎の新たな治療薬

肝がん患者さんの7割が、C型肝炎ウイルスに感染しているといわれています。そのC型肝炎ウイルスの新しい経口型錠剤が開発され、体内のウイルスを完全に除去できるようになったと話題です。今回は、肝がんの予防につながるC型肝炎治療の新薬について、みていきましょう。

C型肝炎とは

C型肝炎は、C型肝炎ウイルスに感染することで発症する肝臓の病気です。治療をせずにいると、やがて慢性肝炎となり、さらには肝硬変や肝がんになってしまうことが少なくありません。肝臓は病気になっても症状が現れにくいため、気づかぬうちに進行して、慢性肝炎になってから発見されるケースが多いのです。

日本のC型肝炎ウイルスの感染者数はおよそ150万人(2013年)と推定されています。また、肝細胞がんのおよそ60%がC型肝炎ウイルスの持続感染によるものだといわれています。C型肝炎は自覚しにくい病気ですが、肝がん予防の意味からも早期発見を心がけたいものです。

C型肝炎ウイルスの感染経路

C型肝炎ウイルスは、血液を介して感染します。かつて、注射針の使い回しによって感染が広がり、社会問題となりました。また、ピアスの穴をあける器具を使い回したために感染した例もあります。なお、母子感染や性交渉による感染は、ごくまれなケースだといわれています。

C型肝炎の治療方法

日本では1992年以降、インターフェロン注射薬を基本にしたC型肝炎治療が行われてきました。しかし、血中に存在するウイルスが多いケースや、日本人の感染者の70%を占める1型(多くが1b型)のウイルスに対しては、十分な効果が出にくいことが指摘されていました。

その後、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法をはじめ、新たな治療法が開発されています。

そして、2014年9月には、日本でも飲む薬だけの治療法が使えるようになりました。これが1型に効果がある経口治療薬として開発されたダクラタスビルとアスナプレビルを24週間内服する治療法です。

飲み薬でC型肝炎ウイルスの完全排除が可能に

2015年9月には、ソホスブビルとレジパスビルを配合した「ハーボニー配合錠」が日本国内で発売されました。インターフェロンやリバビリンと併用する必要がなく、1日に1回1錠を12週間内服することで体内のC型肝炎ウイルスを完全に除去できるといわれています。まさに画期的で、患者さんにとっては待ちわびていた新薬といえるでしょう。

ハーボニー配合錠の価格は当初1錠8万円以上でしたが、2016年の薬価改定で引き下げが行われました。それでも5万円以上と非常に高額です。しかし、医療費助成の対象となっているため、患者個人の負担としては月に1~2万円程度とされています。

副作用が少なく幅広いケースに適応可能

経口薬によるC型肝炎治療では、ウイルスの耐性や副作用の問題があり、治療薬を使えないケースがありました。例えば、すでに肝硬変を発症していたり、高齢であったり、血友病を併発している場合は適応できなかったのです。しかし、ハーボニー配合錠をはじめとした直接作用型抗ウイルス薬は、このような場合にも適応可能で、多くのC型肝炎ウイルス感染者を治療することができます。

C型肝炎の治療が肝がんの発症リスクを下げる

肝がんによる死亡者数は、近年減少傾向にあります。その背景には、C型肝炎の段階での治療が進み、慢性肝炎、肝硬変、肝がんと悪化するケースが少なくなったことがあるでしょう。今後、C型肝炎ウイルスの感染検査を徹底し早期治療を実現することで、肝がんの発症数や死亡数のさらなる改善が期待されます。

 

参考: