年齢を重ねても免疫系の働きを保つ方法

年齢を重ねると、風邪をひきやすくなったと感じる人が多いかもしれません。風邪の予防はもちろんのこと、がん予防のためにも免疫の働きは大切です。そこで今回は、加齢と免疫機能の関係に注目し、免疫系の働きを保つためにできることついてご紹介しましょう。

免疫系に対する加齢の影響

年齢を重ねるにつれて免疫系の応答が悪くなると、感染症や炎症性の病気、そしてがんにもかかりやすくなります。また、高齢の方が呼吸器感染症やインフルエンザ、特に肺炎になると、命を落としかねません。

加齢にともない免疫系が衰えるメカニズムの詳細はわかっていませんが、加齢による胸腺の萎縮がT細胞の減少を招くことや、骨髄が免疫関連の幹細胞を生み出す効率が下がることが着目されています。

年齢とともに免疫系の応答が悪くなることは、高齢者のワクチンに対する反応からも示されています。65歳以上の人は、健康な子どもに比べてインフルエンザワクチンの効果が低いという研究結果もあるようです。

しかし、ワクチンの摂取がまったく無意味だということではありません。インフルエンザや肺炎に感染したり、重篤化したりするリスクは、ワクチンの接種によって大幅に軽減できます。インフルエンザが流行する前に、ワクチンの接種を受けるようにしてください。

微量栄養素が不足しないよう食事内容に気を配る

免疫力の維持には、十分な栄養摂取が欠かせません。そのため、日常の食事の内容に気を配りたいところです。

特に高齢者で注意が必要なのは、微量栄養素の欠乏です。年齢を重ねると日々の食事の献立が固定化して、口にする食品の種類が少なくなる傾向があります。加えて食べる量が減ると、ビタミンやミネラルといった微量栄養素の摂取が不十分になる可能性があるのです。

微量栄養素の欠乏を防ぐには、摂取する食品の品目を増やすといいでしょう。日ごろの食事の内容が心配な場合は、栄養士に相談することをおすすめします。

炭素、酸素、窒素、カルシウム、水素、リンの6種類は、体を構成する主成分元素です。また、カリウム、ナトリウム、硫黄、塩素、マグネシウムなどは、少量成分といわれています。

さらに、フッ素、鉄、亜鉛などの元素は微量成分といわれ、体内にごくわずかしか存在しないものの、生理学的に重要な作用を持ちます。これら微量元素が不足すると、免疫系の応答に影響があるという研究結果もあります。

以下で、いくつかの微量元素について確認してみましょう。

  • 亜鉛
    さまざまな酵素の組成に関与するほかインスリンの中心元素で、肉類、魚介類、ゴマ、カシューナッツなどに多く含まれています。植物性食品よりも動物性食品のほうが効率よく摂取でき、特に牡蠣、ホヤ、するめ、毛ガニ、牛肉、チーズなどは、亜鉛を摂取しやすい食品です。
  • セレン
    抗酸化酵素であるグルタチオン・ペルオキシダーゼの活性に必要な元素で、がんの発症の抑制にも関与している可能性があると考えられています。
    セレンは、魚介類、卵、豚や鶏のレバーなどに多く含まれています。重さあたりの含有量が多いのは、鰹節、アンコウの肝、たらこ、クロマグロ、マガレイ、秋獲りのカツオなどです。また、にんにくやひまわりの種にも多く含まれています。

  • 抗酸化酵素であるスーパーオキシドジスムターゼの構成成分です。鉄と同様に、不足すると貧血症状を引き起こします。
    ごま、ひまわりの種、カシューナッツ、ピーナッツ、くるみ、アーモンドといった種実類、エビ、カニ、イカといった魚介類、牛のレバーなどに豊富に含まれています。

ただし、微量元素は単に多く摂取すればいいというわけではありません。健康に悪影響となりかねないので、過剰摂取は禁物です。

免疫力向上のための心がけ

免疫系の働きを保つには、以下のような心がけが大切です。

  • 禁煙
  • 野菜やフルーツ、精白していない穀類を積極的に食べ、飽和脂肪の摂取を控える
  • 定期的に運動をする
  • 適正な体重を維持する
  • 血圧を正常値に保つ
  • 飲酒は節度のある適度な量にする
  • 十分に睡眠をする
  • 感染を避ける
  • 定期検査を受ける

いずれも免疫系のみならず、体の健康のために大切なことです。できるところから、実行してみましょう。

 

参考:

都市居住者の食事中の微量栄養素(PDF)|首都大学東京 都市環境学部