抗がん剤の副作用で味覚障害があるときの食事の工夫

抗がん剤の副作用で味覚障害が起きると、食欲が減退してしまいます。どんなに好きな食べものだったとしても、期待する味を感じられないと、気持ちも沈んでしまうでしょう。そこで今回は、味覚障害があるときの食事の工夫について、いくつかのアイデアをご紹介します。

塩分を抑えつつ味をはっきりさせる工夫

味覚障害で味が薄く感じるとき、または味がしないときには、ついつい塩や醤油を多く使いたくなってしまうものです。しかし、それを続けていては塩分をとりすぎてしまいます。そこで、塩分を抑えつつ味をはっきりさせる工夫をいくつかご紹介しましょう。

  • 天然だしや干し野菜のうまみを使う
    鰹節や昆布、いりこなどからとった天然のだしは、満足感のある味を生み出します。また、干ししいたけや切り干し大根などの干した野菜にもうまみが多く含まれているので、積極的に利用するといいでしょう。
  • コクをだす
    シチューなどの洋風料理にはバターを少量、和風の煮物ならば酒やみりんを加えるといった、味にコクが出るひと手間をかけてみましょう。
  • 薬味の活用
    食事に添えられた薬味は、香りや彩りで食欲を増進させたり、素材のくさみを抑えたり、風味を増したりします。大根おろし、わさび、しょうが、からし、にんにく、ねぎ、しそ、海苔、山椒、ごま、ゆず、すだち、唐辛子など、料理や好みに合わせて活用しましょう。

好物よりもなじみのない料理がおすすめ

食欲がないときは、患者さん本人も周囲の人も好きなものを食卓に並べようとする傾向があります。しかし、食べ慣れたものには、味への期待があるものです。それが好物であれば、なおのことでしょう。そのような期待が裏切られると気持ちが落ち込んでしまうので、味覚障害が生じているときに好きな料理を口にするのはおすすめできません。

期待する味と、実際に感じる味とのギャップを避けるためには、今まで食べたことがない料理に挑戦してみるといいでしょう。インターネットで検索すれば、世界各国の料理のレシピを探すことができます。その一例として、モロッコ風の料理をご紹介します。

土鍋で作るモロッコ風の蒸し煮料理

モロッコ料理といっても具体的なイメージがわかないかもしれませんが、ブームになった「塩レモン(レモンを塩漬けにした調味料)」はモロッコ発だといわれています。そう思うと、少しは身近に感じられるのではないでしょうか。

モロッコでは、オリーブオイルとニンニクをベースに料理をします。数種類のスパイスを使いますが、香りつけや食材のくさみを消す程度で食材本来の味を大切にしているため、スパイスの効いた料理が苦手な人でも食べやすいでしょう。

モロッコの伝統的な調理道具であるタジン鍋を使った料理は、蒸し煮にした肉と野菜をたっぷりとることができるのでおすすめです。もしタジン鍋がない場合は、土鍋やキャセロールで代用できます。

以下に、鶏肉とジャガイモを使ったメニューをご紹介しましょう。抗がん剤の副作用で肉のにおいが気になるという方でも、塩レモンのおかげできっと食べやすいと思います。鶏肉の代わりに牛肉や豚肉、羊肉を使ったり、人参やトマト、インゲンを加えたりしてアレンジするのもいいかもしれません。

なお、塩レモンは市販品があるので、必要に応じて活用するといいでしょう。

  • 鶏肉とジャガイモの蒸し煮
  1. オリーブオイル、みじん切りにしたニンニクとタマネギ、食べやすい大きさに切った鶏肉、塩少々をタジン鍋や土鍋に入れたら、フタをして弱火にかけます。
  2. ときどき鶏肉の上下を返しながらじっくりと蒸し煮にします。タマネギがしんなりとしてきたら、小さく切った塩レモン、みじん切りにしたコリアンダー、皮をむいて適当な大きさに切ったジャガイモ、水少々を加えます。
  3. 再びフタをして蒸し煮にし、鶏肉とジャガイモに火が通ったら完成です。

離乳食や幼児食のようなものも試してみよう

味覚障害の影響で、何も口にしたくないことがあると思います。そのようなときには、ビスケットやクラッカーをミルクに浸して食べてみましょう。その柔らかな食感と穏やかな味から子どものころを思い出し、気分的に少し落ち着くという人もいます。

また、市販のベビーフードを試してみるのもいいかもしれません。1回あたりの量が少ないので、食欲のないときにも利用しやすいでしょう。

いろいろ試しながら味覚障害を乗り越えよう

味覚障害は、抗がん剤治療を受けた人の約6割に起きるといわれています。その多くは治療終了後に自然と回復し、3~4週間で味覚が戻るようです。さまざまな方法を試しながら少しでも口にできる食べものを探し、その期間を乗り越えましょう。

 

参考: