がんの「再発」と「転移」の違い

がんの治療が終わり社会復帰したのちに、新たにがんが見つかるケースがあります。このがんは、再発なのでしょうか、それとも転移なのでしょうか。今回は、がんの「再発」と「転移」の違いについて確認してみましょう。

切除しきれなかったがん細胞が再び増殖するのが「再発」

最初にがんが発生した場所を「原発」と呼びます。原発の病巣の大きさや進行状況などを検査し、多くの場合は外科的療法によって病巣を取り除くことになります。しかし、その際に目に見えないほどの小さながん細胞が残ってしまうケースや、手術の段階で確認できないレベルのがんが大きく広がっているケースがあるのです。

このように、外科的療法が成功して完治したと考えられていても、取り残されたごくわずかながん細胞が時間の経過とともに再び増殖し、大きくなり始めることを「再発」といいます。

肝臓がんやすい臓がんなどは、再発しやすいといわれています。特に肝臓がんは、術後5年以内で8割が再発したというデータがあるほどです。

再発は、ある程度予想のできることでもあります。目に見えないレベルの小さながん細胞があることを想定し、外科的治療と同時に抗がん剤治療を実施して、再発の可能性を低めるのです。

原発とは異なる臓器や器官でがんが増殖するのが「転移」

がん細胞は原発で増殖し、病状が進行すると血液やリンパの流れに乗って別の臓器や器官へと移動するようになります。この移動したがん細胞が、そこで増殖するのが「転移」です。

転移で多くみられるのは、リンパ液の流れが集まるリンパ節に転移する「リンパ行性転移」や、肝臓や肺、骨、脳といった血液の流れが多いところへ転移する「血行性転移」です。よって、大きな血管やリンパの近くでガンが発生した場合は、遠隔転移する可能性が高いといえるでしょう。

転移しやすいがんには、肺がん、胃がん、乳がん、すい臓がん、大腸がんなどが挙げられます。反対に転移しにくいのは甲状腺がんや子宮頸がんなどで、特に子宮頸がんはほとんど転移することがありません。

転移がんの性質と治療方針

がんの転移はさまざまな部位で起こる可能性があり、転移した部位によって「肺転移」「脳転移」「骨転移」などといいます。例えば、原発が大腸で肺に転移したときは、肺がんではなく「大腸がんの肺転移」となります。そして、転移先のがん細胞の性質は原発のがん細胞と同じ性質を持つため、治療にあたっては原発の大腸がんに有効な抗がん剤が用いられるのです。

がんが見つかった時点で症状が進行しており、複数の部位に病巣が確認された場合は、病理検査やCT検査の結果などからがんの性質を見極め、どこが原発なのかを医師が判断して治療方針を決定することになります。また、転移がんの治療は、ほかの部位にも検査では見つからないほどの小さな転移が起きていることを想定して行われます。つまり、全身への治療効果が期待できる抗がん剤を中心にした治療方法が検討されるのです。

局所的な再発で転移が確認されない場合は、外科的治療で根治を目指すことになりますが、多くの場合は転移の可能性を考慮し、転移がんと同様の治療法がとられます。

再発・転移がんも早期発見が重要

がんは、早期発見ができれば根治の可能性が高まります。それは、再発・転移の場合も同様です。原発がんが完治したあとも定期的に検査を受け、少しでも不安要素があるときは専門医に相談してください。

 

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