食物繊維は大腸がんの発生リスクを下げる?

食物繊維が含まれていることを謳った食品を目にする機会がよくあります。食物繊維には、腸内環境の整備やコレステロールの抑制、肥満予防などの効果があるのは、よく知られるところでしょう。大腸がんのリスク軽減も、そのひとつです。今回は、美容と健康に役立つ食物繊維に注目します。

食物繊維が注目された理由は?

食物繊維の歴史は非常に古く、古代ギリシャでは小麦ふすまが便秘予防になることが知られていました。食物繊維を意味する「dietary fiber(ダイエタリー・ファイバー)」という言葉は、イギリスのヒップスレー医師が1953年に初めて使った造語なのだそうです。

1970年代には、イギリスのバーキット博士が、食物繊維の摂取量が少ないと大腸がんのリスクが高まるという仮説を発表しました。以降、長らく食べもののカスのように考えられていた食物繊維の作用が注目され、体に欠かせない第6の栄養素といわれるまでになっています。

食物繊維が大腸がんを防ぐ仕組み

食物繊維は、消化されずに腸まで達し、腸壁を刺激して排便を促します。そのため、腸内に便が留まる時間が減少し、便から発がん性物質や有害物質が発生するまえに排泄できると考えられているのです。また、食物繊維は水分を取り込むので便の量が増え、発がん性物質の濃度を薄める役割もあるといわれています。

さらに、食物繊維には腸内細菌の働きを助け、腸内環境を整えます。腸内のコンディションは、免疫力の維持、がんの予防に重要だということが近年指摘されています。

食物繊維は2つに大別される

食物繊維は大きく分けると水に溶けにくい

際にお菓子「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」の2種類があります。それぞれの特徴をみてみましょう。

不溶性食物繊維

  • 野菜や穀類、豆類、きのこ類などのほか、エビやカニの殻に含まれる食物繊維で、胃や腸で水分を吸収し大きくふくらみ、便の量を増やすとともに腸の動きを活発にして便通を促進します。また、腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌をはじめとした善玉菌が増えて、腸内環境が整えられます。
  • わかめや昆布といった海藻類をはじめ、果物、里芋などに多く含まれる食物繊維です。糖質の吸収をゆるやかにして食後血糖値が急激に上昇するのを防ぐほか、大腸がんの原因となる二次胆汁酸やコレステロールを吸着して体外への排泄を促します。不溶性食物繊維と同様、腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌をはじめとした善玉菌が増え、腸内環境が整備されます。

水溶性食物繊維

1日に摂りたい食物繊維の量は?

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、1日あたりの食物繊維の摂取量は、の男性(18~69歳)は20g以上、女性(18~69歳)は18g以上とされています。

また、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維はバランスよくとることが大切で、両者の割合は、2:1が理想といわれています。男性は不溶性食物繊維が約13gで水溶性食物繊維が約7g、女性は不溶性食物繊維が12gで水溶性食物繊維が6gを目安にするといいでしょう。

各食品に含まれる食物繊維量

日常的に食べる機会の多い食品には、食物繊維がどのくらい含まれているのか確認してみましょう。かっこ内は、可食部100gあたりに含まれている食物繊維量(不溶性食物繊維/水溶性食物繊維)です。

  • うるち米(0.6g/微量)
  • 薄力粉(1.3g/1.2g)
  • そば(乾麺)(2.1g/1.6g)
  • うどん(乾麺)(1.8g/0.6g)
  • じゃがいも(0.7g/0.6g)
  • 大根(0.9g/0.5g)
  • 切り干し大根(17.1g/3.6g)
  • れんこん(1.8g/0.2g)
  • ごぼう(3.4g/2.3g)
  • にんじん(2g/0.7g)
  • キャベツ(1.4g/0.4g)
  • きゅうり(0.9g/0.2g)
  • セロリ(1.2g/0.3g)
  • しいたけ(3g/0.5g)
  • 干ししいたけ(38g/3g)
  • なめこ(2.3g/1g)
  • いりごま(10.1g/2.5g)
  • アボカド(3.6g/1.7g)
  • バナナ(1g/0.1g)
  • リンゴ(1.2g/0.3g)
  • 干しプルーン(3.8g/3.4g)
  • ゆで栗(6.3g/0.3g)
  • こしあん(6.5g/0.3g)
  • きなこ(15g/1.9g)
  • ひきわり納豆(3.9g/2g)
  • 木綿豆腐(0.3g/0.1g)
  • 絹ごし豆腐(0.2g/0.1g)

食物繊維を意識的に食事へ取り入れよう

外食の機会やコンビニ弁当、インスタント食品に頼った食事が多くなると、栄養バランスが崩れるだけでなく、食物繊維が不足してしまいます。野菜や果物、海藻類、きのこ類といった食物繊維を豊富に含む食品を、意識的に食事に取り入れることが大切です。食物繊維をしっかりとって、大腸がんのリスク低減をはじめとした、さまざまな健康効果の恩恵を得るように努めましょう。

 

参考: