がんの療養中に知っておきたい食用油の豆知識

毎日の食事の調理に、食用油は欠かせません。ひと口に食用油といっても、原材料の違いによってさまざまな種類がありますが、それぞれの特徴をご存じでしょうか。今回は、がんの治療・療養中に理解しておきたい食用油の豆知識をご紹介します。

食用油の種類

数ある食用油のなかから、日常生活で使う機会の多いものを取りあげます。

  • サラダ油
    食用に不純物を取り除いた「精製油」よりもさらに精製度が高く、低温になっても固まったり濁ったりしないサラサラとした植物油で、JAS規格では0℃でも5.5時間清澄である品質とされています。原材料はサフラワー(紅花)、大豆、ひまわり、なたねなどがよく知られており、生食のほか、ドレッシングやマヨネーズにも用いられます。
  • てんぷら油
    以前は家庭用の精製油を指しましたが、現在では業務用の植物油の一部に使われている名称です。最近では、サラダ油をベースにカラリと食感よく揚がるように調合した油を「てんぷら油」と表示しているものがあります。
  • 調合油
    2種類以上の油を混合した食用油の総称です。
  • 健康油
    健康を維持・増進するなんらかの機能があると厚生労働大臣が認可した「特定保健用食品」や、通常の食生活で不足しがちな栄養素を付加した「保健機能食品」の食用油を指します。

食用油に含まれる成分の作用や健康への影響

食生活は、がんの発症に3割ほどの影響があるといわれています。食用油は、できるだけ酸化させずに必要な量を摂取することが大切です。食用油に含まれる成分の作用や、健康への影響を以下にみてみましょう。

  • 飽和脂肪酸
    飽和脂肪酸は肉や乳製品に多く含まれます。摂取しすぎると体内でのコレステロール合成が進行し、LDL(悪玉)コレステロールの量が増加します。飽和脂肪酸を多く含む油は融点が高く、常温では固体です。過剰摂取によって血液の粘り気を強め、生活習慣病のリスクを高めることが知られています。
  • 不飽和脂肪酸
    不飽和脂肪酸のn-3系脂肪酸は、魚、えごま油(しそ油)、亜麻仁油に豊富に含まれています。血液中のLDLコレステロールや中性脂肪を減らし、HDL(善玉)コレステロール値を増加させる作用があり、意識して摂取することが推奨されています。
    えごま油は酸化しやすいため熱に弱く、加熱せずにそのまま摂取する必要があります。また、冷暗所に保存し、開封後は早めに使いきることが大切です。商品によっては病気の予防や健康の維持・増進に効果があると謳っているものがありますが、関連性が証明されていないため、鵜呑みにするのは危険です。なお、えごま油の品質は見た目だけでは判断がつきません。国民生活センターでは市販されているえごま油20銘柄について品質と表示の調査結果を公表し、購入の際には成分の含有量が少ない商品に注意するよう呼びかけています。

がん細胞の発生や増殖を促す物質としては、PGE2(プロスタグランジンE2)が知られています。n-3系脂肪酸は、体内でPGE2が増加するのを抑える働きをするため、ドイツやアメリカのがんの代替療法では、1日に20~30ccの亜麻仁油を飲んだり、ドレッシングに使ったりして、加熱せずに摂取するよう指導がなされているとのことです。

また、魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)には、がんを予防し治療効果を高めることが知られています。さらに、抗がん剤の副作用を軽減できる可能性もあるようです。

  • オレイン酸
    オレイン酸が多く含まれている油としては、オリーブ油が有名です。酸化しにくく、LDLコレステロールだけを低下させるといわれ、動脈硬化の予防効果が期待されています。
  • 中鎖脂肪酸
    中鎖脂肪酸は体への吸収が早く、素早く肝臓で分解されてエネルギーとして利用されるため、体内に蓄積されにくい特徴があります。そのため、摂取しても血中の中性脂肪が増加しにくい傾向にあり、体脂肪が気になる人や肥満の人にすすめられています。中鎖脂肪酸を含む油としては、ココナッツ油やパーム油などが知られています。

健康的に脂質を摂取するための注意点

脂質は体に悪いというイメージがありますが、欠かすことのできない重要な栄養素です。エネルギー源となるだけでなく、ホルモンや細胞膜の材料、神経組織の重要な成分になります。また、体にとって重要で体内では合成できない必須脂肪酸は、食事から摂取する必要があります。

また、脂質には、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、Eなど)を取り込むはたらきもあるため、極端な低脂質食の場合にはこれらのビタミンを吸収できなくなります。そのため、脂質は毎日適切な量を摂取する必要があるのです。

それでは、健康的に脂質をとるには、どのような点に気をつければいいのでしょうか。

  • 調理には新鮮な油を使う
    油が高温になると、トランス脂肪酸が生成されます。トランス脂肪酸を多く摂取するとLDLコレステロールが増加し、HDLコレステロールが減少するため、心臓疾患の危険性を高めると指摘されています。トランス脂肪酸の摂取を抑えるには、揚げものの調理で油を使いまわさずに新しいものを使うことが大切です。なお、多くの日本人のトランス脂肪酸の摂取実態は、世界保健機関(WHO)が規準とする1日の摂取エネルギーの1%未満であるため、通常の食生活を送っていれば過剰摂取の心配はないと考えられています。ただし、脂肪分の多い食事、洋菓子類、インスタント食品などを特に好む場合は、過剰摂取の可能性があるので、食生活全体の見直しが必要です。また、揚げ油の使いまわしている可能性のある外食や惣菜店などの利用頻度が高い場合は、回数や量を減らすようにしましょう。
  • 油の適切な摂取量を知る
    厚生労働省は1日の脂質の食事摂取基準を、成人では総エネルギーの20~30%としており、1日に必要なエネルギー量が2000kcalの場合は55gとなります。食材に含まれる脂質量を厳密に測ることはできませんが、目安としては調理や食事の際に使う油を15gほどにすると、食材に含まれる脂質量と合わせて適量になるといわれています。例えば、トースト1枚にうすくバターを塗ると5g、揚げもの1人分が10gです。脂質をとりすぎると、カロリー過多やトランス脂肪酸の過剰摂取につながり、健康状態に悪影響を及ぼしかねません。毎日の食生活について、1週間単位で見直す習慣をもちましょう。

食用油の特徴を理解して食生活に取り入れよう

体に気を配って食用油の摂取を控えることがあると思います。しかし、それが度を越してしまうと、逆に体調を崩す原因になります。食用油は体に悪いものではありません。脂質は重要な栄養素であり、必要な成分を適量摂取することが必要なのです。さまざまな食用油の特徴を理解し、食生活に取り入れましょう。

 

参考: